小説置き場2

山岳に寺社仏閣に両生類に爬虫類に妖怪に三国志にetcetc

姉妹、喧嘩(1)

??「お、美味そうな匂い!」
??「ちょっと、勝手に入ったら駄目だって・・・」
??「大丈夫大丈夫・・・・・・これか・・・匂いの元は」
??「あ・・・美味しそう」
??「一口だけなら大丈夫だよな」
??「・・・一口なら・・・」
??「パクパク」
??「モグモグ」

呂布「ふあー」
 
 とことことあくびをしながら廊下を歩く可憐な少女
 この物語の主人公、呂布さんだ
 え? 三国志の登場人物である呂布は男性? 何のことですか?
 さて、今日の呂布さん、いつもの真っ黒な鎧を着ていない
 もちろん、触覚もつけていない
 ありゃあ、違う人がつけるものだ。そう決まっている。呂布さんはつけない
 ピンク色の着物に、赤いリボンでくくったポニーテールがさらさらと踊る
 着物は義姉がくれたもので、リボンは軍師がくれたもの

「「呂布」」
 
 その天下無双といえる彼女の武勇と漆黒の騎馬隊は、各地の群雄を震え慄かせ
 その愛らしい姿は、会員数100万を誇るFAN倶楽部を生み出した
 ちなみに、彼女は自分のFAN倶楽部があることを知らない
 そこからわき出すお金が呂布軍の重要な資金源になっていることなど、全く知らない
 FAN倶楽部は主に隔月の投稿誌とグッズ販売で成り立っている
 会員番号1番、P.N.平世の姦雄や会員番号2番、P.N.河南の名門
 同12番、P.N.河西の大覇王などが投稿の常連だ
 それが誰かは、まだ知られていない
 恐らくこれから先、明らかになることはないだろう
 さて、そんな呂布さんである
 現在、曹操に敗れて劉備のところに居候中
 今日は調練もなくお休みの日 
 ずっと寝ていて、もう正午を回ろうかという今、起き出したのだ

呂布張遼~、起きてる~」
 
 そうっとドアを開けて、呂布軍第二武将にして義妹の張遼の名をよぶ呂布さん
 張遼も男? だから 以下略
 返事はない。寝台に近づくと、呂布さんより幼い少女が寝ている
 呂布さんとおそろいの着物を着ていた

呂布張遼、髪伸びたな~。そろそろ切らないといけないな~」
 
 張遼の金髪を触る
 都で再会したときと比べると、全然長さが違う
 布団を蹴飛ばしていたので、呂布さんがかけ直してやる
 張遼は、いつも寝相が悪いのだ

張遼「うにゃ~」
 
 張遼がなにかうめいた

呂布張遼、起きた?」

張遼「・・・・・・」
 
 寝言のようだ

呂布「おやすみなさ~い」
 
 そういうと、静かに部屋を出る

呂布のお腹「グー」
 
 出ると同時にお腹が鳴る。もう、お昼なのだ
 今日は朝ご飯も食べていない

呂布「くんくん・・・いい匂い・・・・・・台所にいってみようっと」
 
 ひくひくと鼻を動かす
 ほのかに漂う甘い香りをかぎつけると、呂布さんとことこ行ってしまった