小説置き場2

山岳に寺社仏閣に両生類に爬虫類に妖怪に三国志にetcetc

姉妹、喧嘩(2)

 しずしずと隙のない歩き方をする大人の女性
 
「「貂蝉」」
 
 呂布の義姉で三姉妹の長女にあたるお方だ
 嬉しそうに顔をほころばせている
 呂布張遼とお揃いのピンクの着物にツインテールが時折ひるがえる

貂蝉「さてと・・・・・・高順さまも誘ったし。ケーキの出来上がりはどうでしょうか?」
 
 台所の前でハタと立ち止まる
 人の気配がする
 三人・・・じゃない
 一人

貂蝉「誰!」
呂布貂蝉姉様~」
 
 なんだ、呂布さまか。もう起きたのね

呂布貂蝉姉様~、お腹空いた~」
 
 はいはい、朝ご飯、食べなっかたものね。今何か用意しますから・・・

貂蝉「あれ・・・」
呂布「どうしたの、貂蝉姉様?」
貂蝉「ない!ないない!ケーキがない!キャロットケーキがない!」
 
 慌てて探し回る貂蝉。ケーキの姿が、みえない

呂布「へ?」
貂蝉「ここに置いていたのに・・・まさか魏続達が・・・」
呂布「魏続なら三人で泊まりがけで遊びに行くって昨日出かけたよ?貂蝉姉様、忘れたの?」
貂蝉「じゃあ・・・張遼・・・」
呂布張遼なら、まだ夢の中だよ」
 
 それじゃあ、犯人は一人しかいないじゃない
 目の前にいる人以外に・・・

貂蝉呂布さま・・・・・・貴方ね。全部、食べちゃったのね・・・」
呂布「え・・・違うよ!」
貂蝉「・・・あれは昨日から準備していたものなのに・・・せっかく今日も早起きして頑張ったのに・・・でも、正直に言えば許してあげる。呂布さま、お腹空いてたんだよね。だから我慢しきれなくて・・・」
呂布「違うよ!今日はしてないよ!」
貂蝉「・・・・・・」
呂布陳宮や高順かも!」
貂蝉「高順さまにはついさっき、お茶しませんか? と誘ったばかり。陳宮さんはそもそも勝手に食べたりしません!!!」
呂布「そんな大声で言わなくても・・・」
貂蝉呂布さま・・・もう一度聞きます・・・勝手に」
呂布「食べてないって!」
 
 ぷちっと何かが切れる音がした
 貂蝉の心の中で、何かが切れた
 ぎゅっと、拳を握る

貂蝉「ちょっと・・・きなさい」
呂布「ええ・・・ご飯は!?」
 
 食べたばっかりだというのに・・・
 それよりも、しらをきり通そうとする呂布さまの態度が許せない

貂蝉「いいから・・・」
 


呂布「いたいいたい!強く引っ張らないで!」
貂蝉「・・・・・・」
 
 何だあれは・・・ 
 貂蝉さま、どうしたんだろう?呂布殿を引っ張って
 それも、あんなに怖い顔をしてあんなに殺気をまき散らして
 嬉しそうな顔でお茶しませんか?と誘ってくれたばかりだというのに・・・
 なんだか、胸がざわめくなあ・・・

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