愉快な呂布一家~劉備VS袁術~
「おのれ!」
袁術は舌打ちした。
左翼が、たやすく撃ち破られた。
劉備軍が姿を現したとき、勝ったと思った。数が、違った。
ゆっくりと、陣を動かした。囲むように。軍は、三つに分けていた。
劉備軍が、前進を始めた。
髭の長い大男が先頭だった。騎馬兵が、後に続いた。
勢いがあった。
そのまま、左陣とぶつかった。
勢いを止められなかった。
「無能な…」
袁術が呟いた。
劉備軍が反転し、今度は、歩兵を前にして突っ込んできた。しばらく、左陣は耐えていた。
後ろから、騎馬隊がさらに圧力をかけた。また、撃ち破られた。
髭の大男が凄かった。
青龍偃月刀に触れた兵が、どんどん宙を舞うのが見えた。
「殿、あれが関羽かと」
隣にいた紀霊が言った。冷静な声だった。
その声のなかに、かすかな熱を袁術は感じ取った。
「紀霊、関羽とぶつかりたいのか?」
「殿が、そう望めば」
劉備軍が、陣を敷き直している。
袁術は、左陣を少し後ろに下げた。
「張勲の役立たずめ」
「どうなさいますか?」
「紀霊、関羽を生け捕りに出来るか?」
「難しいかと。どちらかが、死ぬ。そう思います」
関羽が、凄まじかった。
一人で道を作り、そのあとに劉備軍が続く。
それで、二度とも撃ち破られた。
欲しいと、思った。
「それほどか?」
「ええ」
少し、考えた。右陣より、伝令が来た。
はっとした。右陣に砂煙が立ち始めていた。
「伏兵…いや、兵を切り離し迂回させたのか……」
ぎりりと、音がした。
血の臭いが、袁術の口の中に広がった。
「やっぱり大したことないね」
劉備は、笑った。
反転するさい、三千の兵を切り離した。大きく、回らせた。
それが、右陣の背後を襲っていた。
「しかし、これだと勝っちゃうね」
嘘である。左陣も右陣も、どうでもいい。
中央の陣。
袁術の本隊で、それは全く揺るぎがなかった。
劉備の生粋の兵力は一万であった。あとは、劉備に好意を持ってくれた豪族の兵である。
調練を、施していない。
勢いにのればそれなりに戦えるが、やはり弱兵であった。
劉備は、一万の兵で戦をしているのと同じだった。
中央三万。
劉備の元々の兵と同程度の調練を積んでいると感じた。
それが動けば、終わりだと思った。
幸い、袁術軍は動かなかった。警戒しすぎだと、苦笑いした。
「劉備様……」
陳到が、声をかけてきた。後ろに、虎髭の大男がいた。
やっとかいと、劉備は思った。
心の中の、笑いを打ち消した。
「張飛!」
大声で義弟の名を呼びながら、今のところ完璧だと劉備は思った。
袁術は舌打ちした。
左翼が、たやすく撃ち破られた。
劉備軍が姿を現したとき、勝ったと思った。数が、違った。
ゆっくりと、陣を動かした。囲むように。軍は、三つに分けていた。
劉備軍が、前進を始めた。
髭の長い大男が先頭だった。騎馬兵が、後に続いた。
勢いがあった。
そのまま、左陣とぶつかった。
勢いを止められなかった。
「無能な…」
袁術が呟いた。
劉備軍が反転し、今度は、歩兵を前にして突っ込んできた。しばらく、左陣は耐えていた。
後ろから、騎馬隊がさらに圧力をかけた。また、撃ち破られた。
髭の大男が凄かった。
青龍偃月刀に触れた兵が、どんどん宙を舞うのが見えた。
「殿、あれが関羽かと」
隣にいた紀霊が言った。冷静な声だった。
その声のなかに、かすかな熱を袁術は感じ取った。
「紀霊、関羽とぶつかりたいのか?」
「殿が、そう望めば」
劉備軍が、陣を敷き直している。
袁術は、左陣を少し後ろに下げた。
「張勲の役立たずめ」
「どうなさいますか?」
「紀霊、関羽を生け捕りに出来るか?」
「難しいかと。どちらかが、死ぬ。そう思います」
関羽が、凄まじかった。
一人で道を作り、そのあとに劉備軍が続く。
それで、二度とも撃ち破られた。
欲しいと、思った。
「それほどか?」
「ええ」
少し、考えた。右陣より、伝令が来た。
はっとした。右陣に砂煙が立ち始めていた。
「伏兵…いや、兵を切り離し迂回させたのか……」
ぎりりと、音がした。
血の臭いが、袁術の口の中に広がった。
「やっぱり大したことないね」
劉備は、笑った。
反転するさい、三千の兵を切り離した。大きく、回らせた。
それが、右陣の背後を襲っていた。
「しかし、これだと勝っちゃうね」
嘘である。左陣も右陣も、どうでもいい。
中央の陣。
袁術の本隊で、それは全く揺るぎがなかった。
劉備の生粋の兵力は一万であった。あとは、劉備に好意を持ってくれた豪族の兵である。
調練を、施していない。
勢いにのればそれなりに戦えるが、やはり弱兵であった。
劉備は、一万の兵で戦をしているのと同じだった。
中央三万。
劉備の元々の兵と同程度の調練を積んでいると感じた。
それが動けば、終わりだと思った。
幸い、袁術軍は動かなかった。警戒しすぎだと、苦笑いした。
「劉備様……」
陳到が、声をかけてきた。後ろに、虎髭の大男がいた。
やっとかいと、劉備は思った。
心の中の、笑いを打ち消した。
「張飛!」
大声で義弟の名を呼びながら、今のところ完璧だと劉備は思った。