愉快な呂布一家~山賊(1)~
呂布:天下無双の火の玉「ガール」!美人だ、小柄だ、怪力だ!思いっきり抜けてるけど優しいぞ!
陳宮:呂布軍軍師! 呂布に・・・
呂布「魏続達、遅いねえ~」
陳宮「確かに、遅いですね。何かあったのでしょうか?」
呂布「なんだろう、嫌な予感がする……」
呂布「どういう、こと?」
馬千頭は確かに届いた。何頭か、怪我を負っていた。
受け取りに行った者達を全て集めた。
三人の姿がなかった。
呂布「もう一度、言って?」
静かに、呂布さんが圧倒する。
呂布、陳宮、そして新しく仕えるようになった陳珪陳登父子。
高順、張遼は袁術に備えて陣を敷くため城を離れていた。
貂蝉は体調が優れないと朝から顔を見せていない。
誰も何も言わなかった。いや、言えなかった。
そのとき、あのときの子供が引きつった声で叫んだ。
輸送部隊伝令「ぼ、僕の! 僕のせいなんです!」
呂布「?」
呂布さんが首を傾げた。張遼より、もう少し幼いかなっと思った。
輸送部隊伝令「僕を宋憲さんがかばって! それで、それ……で……う……えぐ……」
呂布「宋憲……」
陳宮「それで魏続と侯成が、宋憲を助けるために残った、か?」
輸送部隊「は、はい……」
呂布「おつとめ、ご苦労様」
陳珪「?」
陳登「?」
呂布「あなただけ、残って。あとの人達は元の部隊に戻って」
子供に、視線が集まる。おどおどと主人の顔を見る。
この子は、どうなるのかと問いかけていた。
自分たちはと問いかけていた。
呂布「今回は誰もお咎めなしね」
呂布さんはにっこりと笑った。
本当に大丈夫かとちらちら後ろを見ながら、輸送に参加した者達が去っていく。
彼らは、急きょ各部隊から集められたのだった。
呂布さんは子供の前に立った。
呂布「君、名前は?」
輸送部隊伝令「ぎ、魏延と言います」
呂布「ふ~ん」
魏延かあ、良い名前だね。そう言った。
陳宮「呂布様、山賊からの使者が」
呂布「そう……ここに通して」
魏延はびくっとなった。呂布さんが、たまらなく怖く思えたのだ。
ああ、ごめんねと呂布さんが苦笑いすると、その怯えはなくなった。
泰山の使者は、馬五千と三騎将の交換を申し入れてきた。
呂布さんは、黙って聞いていた。
そう、っと呟くとその使者に、
呂布「わかった」
とだけ言った。
その使者が帰った後、陳珪が口を開いた。
陳珪「呂布様。一国の主と賊とがこのような取引をするなど、他国の群雄にどう思われるか」
呂布「陳珪は、どうしたらいいと思う?」
陳珪「ここは、きっぱりと拒絶なさいませ。そして賊に兵を向けなさいませ。さすれば呂布様はさすが正
義の士と」
陳宮「三人を見捨てよ、と?」
陳珪「……見捨てるとは言い方の悪い……」
陳宮「そういうことであろう。それこそ、この大事なときに兵の士気にかかわる。それに泰山に向けられる兵はほとんどいません」
呂布「……もう、決めたの。陳珪、馬五千頭……少しぐらい……いいえ、きっちり五千用意して。陳登は城の留守をよろしく。陳宮、話したい事があるから私の部屋に来て」
陳珪が、やれやれという風に部屋を出ていく。陳登は無表情で父親についていく。
魏延「あ、あの……僕は?」
呂布「魏延は……うん、私の麾下のところにいて」
魏延「呂布様の麾下ですか!」
呂布「うん」
陳宮「よく、我慢なさいましたね」
呂布「陳宮……わたし、えらいでしょう……」
呂布さんの部屋。陳宮と二人っきり。
呂布さんの言葉の端々に、殺気が顔を出していた。
呂布「よくもまあぬけぬけと! あの使者、殺してやりたかったよう!」
陳宮「……」
呂布「それに陳珪! 頭が良いのは認めるよ! 貂蝉姉様も陳宮も陳珪が来てから仕事がはかどるようになったって言ってる! でも、わたしは好きになれない! 今日だって魏続達を見捨てろだなんて!」
陳宮「呂布様……とりあえず、陳珪殿のことは置いておいてまずは臧覇から」
呂布「臧覇……陳宮は味方に引き入れたいと言ってたよね」
陳宮「ええ。臧覇は味方にして損はない人材です。間違いなく」
呂布「どうすればいいか分からないけど……わたしなりにやってみる! でも、それも三人が無事だったらの話ね」
陳宮「御意」
呂布「もし何かあったら……泰山の賊は皆殺しにしてやる……」
呂布さんが方天画戟をぎゅっと握る。
戦場に舞う死神としての顔が現れていた。
間違いなく呂布様は皆殺しにすると陳宮は思った。
陳宮:呂布軍軍師! 呂布に・・・
呂布「魏続達、遅いねえ~」
陳宮「確かに、遅いですね。何かあったのでしょうか?」
呂布「なんだろう、嫌な予感がする……」
呂布「どういう、こと?」
馬千頭は確かに届いた。何頭か、怪我を負っていた。
受け取りに行った者達を全て集めた。
三人の姿がなかった。
呂布「もう一度、言って?」
静かに、呂布さんが圧倒する。
呂布、陳宮、そして新しく仕えるようになった陳珪陳登父子。
高順、張遼は袁術に備えて陣を敷くため城を離れていた。
貂蝉は体調が優れないと朝から顔を見せていない。
誰も何も言わなかった。いや、言えなかった。
そのとき、あのときの子供が引きつった声で叫んだ。
輸送部隊伝令「ぼ、僕の! 僕のせいなんです!」
呂布「?」
呂布さんが首を傾げた。張遼より、もう少し幼いかなっと思った。
輸送部隊伝令「僕を宋憲さんがかばって! それで、それ……で……う……えぐ……」
呂布「宋憲……」
陳宮「それで魏続と侯成が、宋憲を助けるために残った、か?」
輸送部隊「は、はい……」
呂布「おつとめ、ご苦労様」
陳珪「?」
陳登「?」
呂布「あなただけ、残って。あとの人達は元の部隊に戻って」
子供に、視線が集まる。おどおどと主人の顔を見る。
この子は、どうなるのかと問いかけていた。
自分たちはと問いかけていた。
呂布「今回は誰もお咎めなしね」
呂布さんはにっこりと笑った。
本当に大丈夫かとちらちら後ろを見ながら、輸送に参加した者達が去っていく。
彼らは、急きょ各部隊から集められたのだった。
呂布さんは子供の前に立った。
呂布「君、名前は?」
輸送部隊伝令「ぎ、魏延と言います」
呂布「ふ~ん」
魏延かあ、良い名前だね。そう言った。
陳宮「呂布様、山賊からの使者が」
呂布「そう……ここに通して」
魏延はびくっとなった。呂布さんが、たまらなく怖く思えたのだ。
ああ、ごめんねと呂布さんが苦笑いすると、その怯えはなくなった。
泰山の使者は、馬五千と三騎将の交換を申し入れてきた。
呂布さんは、黙って聞いていた。
そう、っと呟くとその使者に、
呂布「わかった」
とだけ言った。
その使者が帰った後、陳珪が口を開いた。
陳珪「呂布様。一国の主と賊とがこのような取引をするなど、他国の群雄にどう思われるか」
呂布「陳珪は、どうしたらいいと思う?」
陳珪「ここは、きっぱりと拒絶なさいませ。そして賊に兵を向けなさいませ。さすれば呂布様はさすが正
義の士と」
陳宮「三人を見捨てよ、と?」
陳珪「……見捨てるとは言い方の悪い……」
陳宮「そういうことであろう。それこそ、この大事なときに兵の士気にかかわる。それに泰山に向けられる兵はほとんどいません」
呂布「……もう、決めたの。陳珪、馬五千頭……少しぐらい……いいえ、きっちり五千用意して。陳登は城の留守をよろしく。陳宮、話したい事があるから私の部屋に来て」
陳珪が、やれやれという風に部屋を出ていく。陳登は無表情で父親についていく。
魏延「あ、あの……僕は?」
呂布「魏延は……うん、私の麾下のところにいて」
魏延「呂布様の麾下ですか!」
呂布「うん」
陳宮「よく、我慢なさいましたね」
呂布「陳宮……わたし、えらいでしょう……」
呂布さんの部屋。陳宮と二人っきり。
呂布さんの言葉の端々に、殺気が顔を出していた。
呂布「よくもまあぬけぬけと! あの使者、殺してやりたかったよう!」
陳宮「……」
呂布「それに陳珪! 頭が良いのは認めるよ! 貂蝉姉様も陳宮も陳珪が来てから仕事がはかどるようになったって言ってる! でも、わたしは好きになれない! 今日だって魏続達を見捨てろだなんて!」
陳宮「呂布様……とりあえず、陳珪殿のことは置いておいてまずは臧覇から」
呂布「臧覇……陳宮は味方に引き入れたいと言ってたよね」
陳宮「ええ。臧覇は味方にして損はない人材です。間違いなく」
呂布「どうすればいいか分からないけど……わたしなりにやってみる! でも、それも三人が無事だったらの話ね」
陳宮「御意」
呂布「もし何かあったら……泰山の賊は皆殺しにしてやる……」
呂布さんが方天画戟をぎゅっと握る。
戦場に舞う死神としての顔が現れていた。
間違いなく呂布様は皆殺しにすると陳宮は思った。