あやかし姫~百華燎乱(終)~
「ごめんなさい」
火羅が、冷たい床に額を擦り付けた。
木の板。木目。
咲夜が、
「い、いえ」
そう首を振って、火羅に近づく。
その様子を背に、用は済んだと姫様が離れていく。
古寺にいるもう一人の妖狼。
太郎は、咲夜から離れなかった。姫様に、ついていかなかった。
火羅は、姫様が離れるのに気が付いた。
床に垂れた赤髪の後ろで、それを見ていた。
姫様が、ふと振り返る。視線が重なる。
姫様は、冷ややかな表情を崩さなかった。
火羅は、唇の両端を、くいっと釣り上げた。
姫様の黒髪が、靡いた。
もう、後ろは見なかった。
廊下。
鬼が、二人いた。
道の真ん中に立っていて。
歩いてゆく。
立ち止まる。
「……彩花さま」
「朱桜ちゃん」
「いいんですか? 火羅のこと。これで、いいんですか?」
呼び捨て、であった。
「俺が、殺ってもいいが」
酒呑童子が、いった。
まるで、羽虫を捻り潰すような、軽い言い方。
朱桜が、少しむっとした。
自分の父親を見る。
酒呑童子は、朱桜に、にっと笑いかけた。
そして、
「俺も朱桜も、彩花ちゃんに任すと決めた。八霊がいない今、それが、良いだろうとな」
「じゃあ、いいですよね。反省してるみたいですし。このまま」
「それで、いいのか?」
ええ、と、姫様が頷いた。
「だとさ」
「……彩花さま、優しすぎですよ」
「え?」
「あれは、私と咲夜ちゃんを襲ったですよ」
「……その分、酒呑童子さんに殴られたよ」
「それは、そうですけど……いいんですか? 彩花さまは、それで?」
朱桜は、黒之助と一緒にいた。あのとき、どんな話がなされたのか知らないのだ。
教えてもらえなかった。
それでも、火羅が姫様に何か言ったのだと確信していた。
だから、姫様は古寺から姿を消していたのだと。
「うん。十分でしょう。火羅さん、十分痛い思いしたよ」
「……私は、やっぱり優しすぎだと思います」
「いいじゃない」
「彩花さま……」
「優しい私で、いさせてよ」
そういって、姫様は朱桜の額に、その手を置いた。
「やはり、社におられましたか」
雪の、大龍。自らの地。
巫女が住んでいたお社。
そこに、いた。
一つ、人影。
翁が大龍を見やる。
頭領、であった。
「寂しい所じゃな」
身体を一震いさせる。
「寒くも、ある」
「我は、貴殿のいわれたとおりに述べた」
「そうであろうな。でなければ、八つ裂きにされておる」
「我は、八百万の」
「例え八百万の神であっても、お主程度では大妖たる鈴鹿御前には、勝てぬ。阿蘇の火龍で学んでおろう」
「貴殿なら」
「何故、助ける? わざわざ助ける気はない」
「……酷い、お人だ」
「……巫女は、いれば良いのだ。社に留まれとはお主と雪妖との盟約にはなかった」
「確かにそうではあります」
「まあよい。お主は、儂のいうとおりに事を進めた。これで用は済んだ」
「助けられた、のでしょうな」
「お主は聞き分けが良い。阿蘇の火龍とは違う。これからも、そのままでいよ。くれぐれも滅びを招くな」
「御意に、ございます」
「……帰るか」
古寺で、ゆっくりと休みたい。
ここは、寒い。
心が、休まらない。
面倒事は、嫌いだ。
それに……古寺の騒がしい妖達と姫様が、恋しくなっていた。
「それじゃあな」
「またです、彩花さま、咲夜ちゃん、葉子さん、クロさん、太郎さん、皆さん」
一気に紡いだのでぜーはーぜーはー。
おお、っと鬼の王は、目を丸くした。
火羅は、出てきていない。
朱桜も、見送りなどご免だった。
それは、心の深い部分で火羅の事を嫌っていたから。
「ごめんね、なんだか色々あって。全然、遊べなくて」
「いいのです。次は、彩花さまが鬼ヶ城に来て下さいです。ね、父上」
「うむ、歓迎するぞ」
「そうするね。うん!」
「はいです! あ、クロさん。お大事にですよー」
「はい」
黒之助が、白く包まれた羽を少し動かした。
鬼馬が宙に浮かぶ。
朱桜が、酒呑童子に振り落とされないようにとしがみつく。
蹄が空を踏む。
ばいばいと。
またねと。
鬼の親娘が、古寺から遠く離れていく。
「帰っちゃった」
葉子が、いった。
姫様が、葉子の肩に頭を寄せた。
葉子、もたれ掛かられて。
微笑を、浮かべた。
「それじゃあ、私も」
咲夜が、いった。
小さな、妖狼が煙と共に姿を見せる。
「そうか……」
巨大な妖狼が、咲夜に近づく。愛おしそうに額を擦り寄せた。
「もう少し、いてもいいんだ」
「ちょっと、長居し過ぎしちゃったんです。また、怒られちゃいます」
舌を、ちろりと出した。
「あに様、今度会うときは私一人じゃないです。……だと、いいです」
「……ああ」
「咲夜ちゃん、またね」
「はい。彩花ちゃん。あに様の事、宜しくお願いします」
「……うん」
咲夜も、闇に消えていく。
気を付けてねー、っと。
足音が遠ざかり、音が消えて。
ばらばらと、妖達が建物の中へ。
客人は、あと一人。
姫様は、相変わらず葉子にもたれ掛かっていて。
眩しいと、月の光に、目を細めた。
「ん?」
入ろうとした黒之助が、先に行っていた妖に手紙を渡されて。
『火羅』の二文字。
「探せ」
そう、静かにいった。
姫様の、元へ。太郎が鼻を動かした。
「火羅さんから?」
黒之助に目をやることなく、そう、いった。
葉子が、その言葉に目を見開いた。
姫様が冷たかった。今まで、暖かだったのに。
鼓動を、落ち着かせる。
姫様を、恐る恐る見る。
目を、瞑っていた。
葉子は、姫様の頭をゆるやかに愛しげに撫でた。
「クロさん、読んで」
「御意……帰ります。お世話になりました。また、会いに来ます」
「それだけなのか?」
太郎が、くぐもった声をだした。
「ああ」
妖が、黒之助に耳打ちを。
そうか、もういい。そう、いった。
「姫さん、火羅は」
「さっき、帰っていったね」
「姫様、気付いてたの?」
葉子が、手の動きを止めた。
「そうだね」
黒之助が、太郎に視線を落とす。
太郎が、首を振る。
黒之助も、首を振る。
気が付かなかった。
三人とも。
「……古寺に、入ろう。頭領も帰ってきましたし」
「え」
「……今、帰ったぞ」
ぼんやりと、人の形をした白い物が現れる。
頭領、であった。
また、気が付かなかった。
姫様だけが、気が付いた。
「……黒之助、その傷、一体どうしたのじゃ?」
んぬ、っと、頭領が。
「儂のおらぬ間に、太郎と喧嘩でもしたのか?」
「……頭領、拙者が太郎殿に遅れをとることなどありません」
「……クロ、それはどういうことだ」
「そのまま、よ」
「お前」
「はい、おしまい! 二人とも、喧嘩しないでね!」
姫様が、いった。
二人、しばらく睨みあうも、姫様の言葉に矛を下ろす。
「彩花、変わりなかったか」
頭領が、いった。
「そうですね……お話しする事が、山ほどあります」
姫様は、微笑みながら、そう、いった。
満月。
いや、少し欠けがある。
円を、空が、ちょこっとかじって。
白々と、闇が明けてゆく。
朝と夜の、丁度境界。
古寺の庭。
妖狼。
冬の、お月見。
身を乗り出す。
月に、手を伸ばす。
金銀妖瞳。紅い灯火が宿っていた。
突然、耳をぴくりと立てる。
後ろを振り向く。
「姫様?」
姫様が、いた。
薄い、白い、夜着。その上に、白い着物を羽織っていた。
澄んだ瞳。
太郎は、姫様に近づく。姫様は、その場から動かなかった。
「寒いぞ。風邪、引くぞ」
人の姿になる。
縁側に、腰を下ろす。
金銀妖瞳は、そのままであった。
大きな、白い尾。
「ん」
姫様に差し出す。
姫様も、腰を下ろした。太郎の白い尾を、膝掛け代わりに。
「……色々、あったね」
「そうだな」
「まだ、頭領に話し終わらないよ」
姫様、月を見上げた。
「頭領の話も、聞かないとな」
「そうだね。光君のことも、茨木童子さんのことも……ねえ、太郎さん」
「何だよ」
「私は、人に見える?」
何の冗談かと、妖狼は笑みを浮かべ姫様を。
姫様は、真面目な顔であった。
「……見える」
妖狼は静かに、そう、答えた。
「そっか。そうだよね。ご免ね、変な事聞いて。うん、やっぱり私はここが良い。ここが、一番好き」
姫様が、太郎に躰を預けた。
「俺も、ここが良い」
「一緒だね」
「ああ」
「みんな、一緒だよね」
「そうだな。頭領も、『お母さん』も、クロも、皆、そうだ」
ふふっと、姫様が笑った。
眩しい。
陽よりも、月よりも。
そう、妖狼は思った。
また、あやかし姫の平穏で騒がしい一日が繰り返される。
ゆるやかにゆるやかに形を変えながら、大切な日々は、続いていく。
あやかし姫。
優しい、妖達。
古寺の刻は、弛まなく淀みなく流れていく。
火羅が、冷たい床に額を擦り付けた。
木の板。木目。
咲夜が、
「い、いえ」
そう首を振って、火羅に近づく。
その様子を背に、用は済んだと姫様が離れていく。
古寺にいるもう一人の妖狼。
太郎は、咲夜から離れなかった。姫様に、ついていかなかった。
火羅は、姫様が離れるのに気が付いた。
床に垂れた赤髪の後ろで、それを見ていた。
姫様が、ふと振り返る。視線が重なる。
姫様は、冷ややかな表情を崩さなかった。
火羅は、唇の両端を、くいっと釣り上げた。
姫様の黒髪が、靡いた。
もう、後ろは見なかった。
廊下。
鬼が、二人いた。
道の真ん中に立っていて。
歩いてゆく。
立ち止まる。
「……彩花さま」
「朱桜ちゃん」
「いいんですか? 火羅のこと。これで、いいんですか?」
呼び捨て、であった。
「俺が、殺ってもいいが」
酒呑童子が、いった。
まるで、羽虫を捻り潰すような、軽い言い方。
朱桜が、少しむっとした。
自分の父親を見る。
酒呑童子は、朱桜に、にっと笑いかけた。
そして、
「俺も朱桜も、彩花ちゃんに任すと決めた。八霊がいない今、それが、良いだろうとな」
「じゃあ、いいですよね。反省してるみたいですし。このまま」
「それで、いいのか?」
ええ、と、姫様が頷いた。
「だとさ」
「……彩花さま、優しすぎですよ」
「え?」
「あれは、私と咲夜ちゃんを襲ったですよ」
「……その分、酒呑童子さんに殴られたよ」
「それは、そうですけど……いいんですか? 彩花さまは、それで?」
朱桜は、黒之助と一緒にいた。あのとき、どんな話がなされたのか知らないのだ。
教えてもらえなかった。
それでも、火羅が姫様に何か言ったのだと確信していた。
だから、姫様は古寺から姿を消していたのだと。
「うん。十分でしょう。火羅さん、十分痛い思いしたよ」
「……私は、やっぱり優しすぎだと思います」
「いいじゃない」
「彩花さま……」
「優しい私で、いさせてよ」
そういって、姫様は朱桜の額に、その手を置いた。
「やはり、社におられましたか」
雪の、大龍。自らの地。
巫女が住んでいたお社。
そこに、いた。
一つ、人影。
翁が大龍を見やる。
頭領、であった。
「寂しい所じゃな」
身体を一震いさせる。
「寒くも、ある」
「我は、貴殿のいわれたとおりに述べた」
「そうであろうな。でなければ、八つ裂きにされておる」
「我は、八百万の」
「例え八百万の神であっても、お主程度では大妖たる鈴鹿御前には、勝てぬ。阿蘇の火龍で学んでおろう」
「貴殿なら」
「何故、助ける? わざわざ助ける気はない」
「……酷い、お人だ」
「……巫女は、いれば良いのだ。社に留まれとはお主と雪妖との盟約にはなかった」
「確かにそうではあります」
「まあよい。お主は、儂のいうとおりに事を進めた。これで用は済んだ」
「助けられた、のでしょうな」
「お主は聞き分けが良い。阿蘇の火龍とは違う。これからも、そのままでいよ。くれぐれも滅びを招くな」
「御意に、ございます」
「……帰るか」
古寺で、ゆっくりと休みたい。
ここは、寒い。
心が、休まらない。
面倒事は、嫌いだ。
それに……古寺の騒がしい妖達と姫様が、恋しくなっていた。
「それじゃあな」
「またです、彩花さま、咲夜ちゃん、葉子さん、クロさん、太郎さん、皆さん」
一気に紡いだのでぜーはーぜーはー。
おお、っと鬼の王は、目を丸くした。
火羅は、出てきていない。
朱桜も、見送りなどご免だった。
それは、心の深い部分で火羅の事を嫌っていたから。
「ごめんね、なんだか色々あって。全然、遊べなくて」
「いいのです。次は、彩花さまが鬼ヶ城に来て下さいです。ね、父上」
「うむ、歓迎するぞ」
「そうするね。うん!」
「はいです! あ、クロさん。お大事にですよー」
「はい」
黒之助が、白く包まれた羽を少し動かした。
鬼馬が宙に浮かぶ。
朱桜が、酒呑童子に振り落とされないようにとしがみつく。
蹄が空を踏む。
ばいばいと。
またねと。
鬼の親娘が、古寺から遠く離れていく。
「帰っちゃった」
葉子が、いった。
姫様が、葉子の肩に頭を寄せた。
葉子、もたれ掛かられて。
微笑を、浮かべた。
「それじゃあ、私も」
咲夜が、いった。
小さな、妖狼が煙と共に姿を見せる。
「そうか……」
巨大な妖狼が、咲夜に近づく。愛おしそうに額を擦り寄せた。
「もう少し、いてもいいんだ」
「ちょっと、長居し過ぎしちゃったんです。また、怒られちゃいます」
舌を、ちろりと出した。
「あに様、今度会うときは私一人じゃないです。……だと、いいです」
「……ああ」
「咲夜ちゃん、またね」
「はい。彩花ちゃん。あに様の事、宜しくお願いします」
「……うん」
咲夜も、闇に消えていく。
気を付けてねー、っと。
足音が遠ざかり、音が消えて。
ばらばらと、妖達が建物の中へ。
客人は、あと一人。
姫様は、相変わらず葉子にもたれ掛かっていて。
眩しいと、月の光に、目を細めた。
「ん?」
入ろうとした黒之助が、先に行っていた妖に手紙を渡されて。
『火羅』の二文字。
「探せ」
そう、静かにいった。
姫様の、元へ。太郎が鼻を動かした。
「火羅さんから?」
黒之助に目をやることなく、そう、いった。
葉子が、その言葉に目を見開いた。
姫様が冷たかった。今まで、暖かだったのに。
鼓動を、落ち着かせる。
姫様を、恐る恐る見る。
目を、瞑っていた。
葉子は、姫様の頭をゆるやかに愛しげに撫でた。
「クロさん、読んで」
「御意……帰ります。お世話になりました。また、会いに来ます」
「それだけなのか?」
太郎が、くぐもった声をだした。
「ああ」
妖が、黒之助に耳打ちを。
そうか、もういい。そう、いった。
「姫さん、火羅は」
「さっき、帰っていったね」
「姫様、気付いてたの?」
葉子が、手の動きを止めた。
「そうだね」
黒之助が、太郎に視線を落とす。
太郎が、首を振る。
黒之助も、首を振る。
気が付かなかった。
三人とも。
「……古寺に、入ろう。頭領も帰ってきましたし」
「え」
「……今、帰ったぞ」
ぼんやりと、人の形をした白い物が現れる。
頭領、であった。
また、気が付かなかった。
姫様だけが、気が付いた。
「……黒之助、その傷、一体どうしたのじゃ?」
んぬ、っと、頭領が。
「儂のおらぬ間に、太郎と喧嘩でもしたのか?」
「……頭領、拙者が太郎殿に遅れをとることなどありません」
「……クロ、それはどういうことだ」
「そのまま、よ」
「お前」
「はい、おしまい! 二人とも、喧嘩しないでね!」
姫様が、いった。
二人、しばらく睨みあうも、姫様の言葉に矛を下ろす。
「彩花、変わりなかったか」
頭領が、いった。
「そうですね……お話しする事が、山ほどあります」
姫様は、微笑みながら、そう、いった。
満月。
いや、少し欠けがある。
円を、空が、ちょこっとかじって。
白々と、闇が明けてゆく。
朝と夜の、丁度境界。
古寺の庭。
妖狼。
冬の、お月見。
身を乗り出す。
月に、手を伸ばす。
金銀妖瞳。紅い灯火が宿っていた。
突然、耳をぴくりと立てる。
後ろを振り向く。
「姫様?」
姫様が、いた。
薄い、白い、夜着。その上に、白い着物を羽織っていた。
澄んだ瞳。
太郎は、姫様に近づく。姫様は、その場から動かなかった。
「寒いぞ。風邪、引くぞ」
人の姿になる。
縁側に、腰を下ろす。
金銀妖瞳は、そのままであった。
大きな、白い尾。
「ん」
姫様に差し出す。
姫様も、腰を下ろした。太郎の白い尾を、膝掛け代わりに。
「……色々、あったね」
「そうだな」
「まだ、頭領に話し終わらないよ」
姫様、月を見上げた。
「頭領の話も、聞かないとな」
「そうだね。光君のことも、茨木童子さんのことも……ねえ、太郎さん」
「何だよ」
「私は、人に見える?」
何の冗談かと、妖狼は笑みを浮かべ姫様を。
姫様は、真面目な顔であった。
「……見える」
妖狼は静かに、そう、答えた。
「そっか。そうだよね。ご免ね、変な事聞いて。うん、やっぱり私はここが良い。ここが、一番好き」
姫様が、太郎に躰を預けた。
「俺も、ここが良い」
「一緒だね」
「ああ」
「みんな、一緒だよね」
「そうだな。頭領も、『お母さん』も、クロも、皆、そうだ」
ふふっと、姫様が笑った。
眩しい。
陽よりも、月よりも。
そう、妖狼は思った。
また、あやかし姫の平穏で騒がしい一日が繰り返される。
ゆるやかにゆるやかに形を変えながら、大切な日々は、続いていく。
あやかし姫。
優しい、妖達。
古寺の刻は、弛まなく淀みなく流れていく。