狼風奇譚~第9話~旅行者編
「もうそろそろでしょうか?」
「ああ・・・」
風華と白狼を乗せた大牙は順調に役目を終えつつある。巨大な山が、見えてきた。黒い点が、飛んでいる。山は、岩山だった。木などない、岩でできていた。
大牙が降下を始める。目的地に着いたのだ。
「何も、なかったな」
風華が、少し残念そうにつぶやいた。
「凄い!」
たくさんの、魔獣がいた。虎、狼、竜、獅子・・・・・・。人も、たくさんいた。
「あんた、名前は?」
男が、尋ねてきた。
「白狼、大師だ」
男の態度が変わった。周りの空気も変わった。はっきりと、感じとれた。
「あなた様が、あの・・・あの白狼大師?」
「そうだ・・・」
失礼を、そう男が口にしたようだった。この魔獣を頼む、そういって、白狼は歩き出した。周りを珍しそうに見ていた風華も後を追った。
「これからどうするのですか?」
「先にお前を登録する・・・」
「登録、ですか」
「それで、仙として認められることとなる・・・」
「は、はい」
黙って、歩いた。時々、白狼の顔を見た者が驚いた顔をしていた。だが、そのことに気付く余裕が風華にはなかった。仙として認められる、そのことが頭の中のほとんどを占めていた。
人が列を成していた。二人は最後尾についた。列の先に登録する係の者がいると白狼が教えた。
「どのぐらいかかるのでしょうか?」
「さあな、見当もつかん・・・」
少し、待った。視線に気がついた。ちらちらとうかがうような視線。少し気になり始めた。
「白狼様、先ほどから
視線が気になる、そう言おうとした。その言葉は遮られた。
「白狼様とおっしゃられましたが」
獣人が話しかけてきた。
「私はウシビトの角族が長、金角。もしや、天狼門の頭領である・・・」
「そうだ・・・」
おお。周りの人間から声があがった。視線が注がれている。風華には、なぜだかよくわからなかった。
「隣にいらっしゃられるのは・・・」
「弟子だ。仙としての登録をな・・・」
その言葉が発せられると、列が動いた。左右にきれいに分かれ、その先に机が見えた。金角も、右に動いている。
「先にいけということか・・・」
白狼が困った顔をして、風華の方を向く。
「先に行くか・・・」
白狼が微笑んだ。寂しそうな笑みだった。風華にはそう感じられた。
「ああ・・・」
風華と白狼を乗せた大牙は順調に役目を終えつつある。巨大な山が、見えてきた。黒い点が、飛んでいる。山は、岩山だった。木などない、岩でできていた。
大牙が降下を始める。目的地に着いたのだ。
「何も、なかったな」
風華が、少し残念そうにつぶやいた。
「凄い!」
たくさんの、魔獣がいた。虎、狼、竜、獅子・・・・・・。人も、たくさんいた。
「あんた、名前は?」
男が、尋ねてきた。
「白狼、大師だ」
男の態度が変わった。周りの空気も変わった。はっきりと、感じとれた。
「あなた様が、あの・・・あの白狼大師?」
「そうだ・・・」
失礼を、そう男が口にしたようだった。この魔獣を頼む、そういって、白狼は歩き出した。周りを珍しそうに見ていた風華も後を追った。
「これからどうするのですか?」
「先にお前を登録する・・・」
「登録、ですか」
「それで、仙として認められることとなる・・・」
「は、はい」
黙って、歩いた。時々、白狼の顔を見た者が驚いた顔をしていた。だが、そのことに気付く余裕が風華にはなかった。仙として認められる、そのことが頭の中のほとんどを占めていた。
人が列を成していた。二人は最後尾についた。列の先に登録する係の者がいると白狼が教えた。
「どのぐらいかかるのでしょうか?」
「さあな、見当もつかん・・・」
少し、待った。視線に気がついた。ちらちらとうかがうような視線。少し気になり始めた。
「白狼様、先ほどから
視線が気になる、そう言おうとした。その言葉は遮られた。
「白狼様とおっしゃられましたが」
獣人が話しかけてきた。
「私はウシビトの角族が長、金角。もしや、天狼門の頭領である・・・」
「そうだ・・・」
おお。周りの人間から声があがった。視線が注がれている。風華には、なぜだかよくわからなかった。
「隣にいらっしゃられるのは・・・」
「弟子だ。仙としての登録をな・・・」
その言葉が発せられると、列が動いた。左右にきれいに分かれ、その先に机が見えた。金角も、右に動いている。
「先にいけということか・・・」
白狼が困った顔をして、風華の方を向く。
「先に行くか・・・」
白狼が微笑んだ。寂しそうな笑みだった。風華にはそう感じられた。