2005-10-15から1日間の記事一覧
一瞬、視界から酒呑の姿が消えた。 景色が動いていく。下に、下に。 声が、でない。 急に落下が止まる。髪を引っ張られている感覚。 上に、上に。 目と鼻の先に酒呑童子の顔があった。 それは、その美男子ぶりを誉め讃えられる黒夜叉の知る顔ではなかった。 …
大江山の鬼ヶ城。 鬼達の主たる酒呑童子は、目の前の人物をただ静かに眺めていた。 「どういうつもりだ、黒夜叉」 「どういうつもりだとは?」 黒衣の男はやれやれと。 それは王に対する態度ではない。 今までの従順な姿が嘘のようであった。 「都を・・・・…