第二十四話(1)~風邪~
「姫様!早く起きて下さい!太郎が呼びにきましたよ」
朝。
女が布団をゆさゆさゆする。
銀狐葉子が姫様に。
姫様まだ布団の中。
なかなか起きてくれないのだ。
「うー」
もぞもぞと布団が動く。布団をすっぽりかぶって姫様は出てこようとしなかった。
「寒いのは分かりますけどね。もう朝ですよ、お日様出てますよ」
返事は、なし。
もぞもぞ動くだけ。
「ええい、もう!」
ばっと布団をはぎ取る。
丸くなってる姫様、現れる。
「さ、寒い・・・・・・あ、葉子さん、おはようございます」
「おはようござ・・・・・・あれ?」
「どうか・・・しましたか?」
姫様が身を起こす。銀狐が顔を近づけた。
「顔・・・赤いですよ」
「そうですか?・・・・・・くしゅん」
くしゃみを、一つ。
銀狐の目が大きく見開いた。
「あれ、葉子さん?」
銀狐の姿が消えて。木の葉が一枚、落ちていた。
「頭――――――領――――――!!」
狐が慌てた様子で部屋に入ってきた。
葉子である。
ゆらめく九尾、輝く銀の毛。すでに人の姿ではない。
「なんじゃ、朝から騒がしいのう」
寺で「二番目」に偉い人、頭領。
「姫様、まだ?めし冷めちゃうよ」
妖狼、太郎。
「姫さん寒さに弱いからな~」
黒之助。他の妖達も揃っていて。今いないのは姫様だけ。
「!」
がしっと頭領の着物に銀狐が噛みついた。
「おお!?」
そのまま葉子頭領を持ち去る。
唖然とする妖達。
「・・・・・・なんなんだ?」
「と、頭領ー!?」
「いたいいたい、柱にぶつかってるぶつかってる!」
「我慢して下さい!」
銀狐と頭領、姫様の部屋にご到着。葉子、頭領をぽいっと投げ捨てる。
「いて!」
「頭領・・・姫様が」
「頭領、大丈夫ですか?」
赤いほっぺの女の子が布団から顔を出す。
また、潜り込んでいたみたい。
その顔を見ると、頭領苦い顔をする。
こほんと一咳すると、姫様の額に手をのばした。
「はい?」
「熱、あるね」
「やっぱり・・・」
「そういえば、ぼうっと・・・・・・」
「彩花、今日一日寝ていなさい」
「・・・・・・」
考え中。
今日は寺を掃除しよう、そう言っていたのだ。
「返事は?」
「・・・はい」
「よろしい」
にっこり笑うと頭領立ち上がる。
「薬と・・・消化のいいもんもってくるよ」
「じゃ、あたい姫様のお側に」
「おう」
「黒之助、ちょっとこれ蔵から持ってきてくれ」
「はあ」
頭領、こもごまと書かれた紙を渡す。
「太郎、おかゆかなにか作ってくれ」
「へえ、あの頭領、姫様・・・」
「ちょっと風邪引いたみたいだな」
えー、と妖達が騒ぎ立てる。
「静かにしな。あんまり騒ぐと彩花に悪いからな」
「はーい」
頭領、そう言うと料理を持って部屋を出ていこうとする。
「頭領、どこへ?」
「自分の部屋。ちょいっとやることがあるんでね。薬、わしのところに持ってきてくれよ」
「あっち、騒がしいですね」
「姫様しゃべらない、すぐ寝る!」
「でも・・・」
そんなにすぐには寝れないと。
「目つぶってたら寝られます!」
「は~い」
姫様銀狐の言ったとおりに。すぐにすーすー寝息を立て始めた。
「・・・・・・姫様?」
ちょっと揺する。
「もう、寝ちゃったか」
朝。
女が布団をゆさゆさゆする。
銀狐葉子が姫様に。
姫様まだ布団の中。
なかなか起きてくれないのだ。
「うー」
もぞもぞと布団が動く。布団をすっぽりかぶって姫様は出てこようとしなかった。
「寒いのは分かりますけどね。もう朝ですよ、お日様出てますよ」
返事は、なし。
もぞもぞ動くだけ。
「ええい、もう!」
ばっと布団をはぎ取る。
丸くなってる姫様、現れる。
「さ、寒い・・・・・・あ、葉子さん、おはようございます」
「おはようござ・・・・・・あれ?」
「どうか・・・しましたか?」
姫様が身を起こす。銀狐が顔を近づけた。
「顔・・・赤いですよ」
「そうですか?・・・・・・くしゅん」
くしゃみを、一つ。
銀狐の目が大きく見開いた。
「あれ、葉子さん?」
銀狐の姿が消えて。木の葉が一枚、落ちていた。
「頭――――――領――――――!!」
狐が慌てた様子で部屋に入ってきた。
葉子である。
ゆらめく九尾、輝く銀の毛。すでに人の姿ではない。
「なんじゃ、朝から騒がしいのう」
寺で「二番目」に偉い人、頭領。
「姫様、まだ?めし冷めちゃうよ」
妖狼、太郎。
「姫さん寒さに弱いからな~」
黒之助。他の妖達も揃っていて。今いないのは姫様だけ。
「!」
がしっと頭領の着物に銀狐が噛みついた。
「おお!?」
そのまま葉子頭領を持ち去る。
唖然とする妖達。
「・・・・・・なんなんだ?」
「と、頭領ー!?」
「いたいいたい、柱にぶつかってるぶつかってる!」
「我慢して下さい!」
銀狐と頭領、姫様の部屋にご到着。葉子、頭領をぽいっと投げ捨てる。
「いて!」
「頭領・・・姫様が」
「頭領、大丈夫ですか?」
赤いほっぺの女の子が布団から顔を出す。
また、潜り込んでいたみたい。
その顔を見ると、頭領苦い顔をする。
こほんと一咳すると、姫様の額に手をのばした。
「はい?」
「熱、あるね」
「やっぱり・・・」
「そういえば、ぼうっと・・・・・・」
「彩花、今日一日寝ていなさい」
「・・・・・・」
考え中。
今日は寺を掃除しよう、そう言っていたのだ。
「返事は?」
「・・・はい」
「よろしい」
にっこり笑うと頭領立ち上がる。
「薬と・・・消化のいいもんもってくるよ」
「じゃ、あたい姫様のお側に」
「おう」
「黒之助、ちょっとこれ蔵から持ってきてくれ」
「はあ」
頭領、こもごまと書かれた紙を渡す。
「太郎、おかゆかなにか作ってくれ」
「へえ、あの頭領、姫様・・・」
「ちょっと風邪引いたみたいだな」
えー、と妖達が騒ぎ立てる。
「静かにしな。あんまり騒ぐと彩花に悪いからな」
「はーい」
頭領、そう言うと料理を持って部屋を出ていこうとする。
「頭領、どこへ?」
「自分の部屋。ちょいっとやることがあるんでね。薬、わしのところに持ってきてくれよ」
「あっち、騒がしいですね」
「姫様しゃべらない、すぐ寝る!」
「でも・・・」
そんなにすぐには寝れないと。
「目つぶってたら寝られます!」
「は~い」
姫様銀狐の言ったとおりに。すぐにすーすー寝息を立て始めた。
「・・・・・・姫様?」
ちょっと揺する。
「もう、寝ちゃったか」