あやかし姫~あける・・・・・・~
皆、庭にいた。姫様と朱桜と太郎以外。
居間と他の部屋をしきる障子や戸を取り外すと、妖達は庭に戻された。
葉子はまだ眠っている光をその尾に包んでいる。
しきりに桐壺が謝っていた。
う~んと光がのびをした。どうやら目が覚めたようで。
黒之助は頭領と何だろうと話している。頭領達も、外に出されたのだ。
鈴があったかいと鈴鹿御前は子猫を頬に。
藤原俊宗はその横に立っていて。
酒呑と茨木はもう少し飲みたかったと、そう口にしていた。
鐘の音が、途切れた。
妖達が己の声の大きさに、ふと気がつく。
誰も、話さなくなった。
障子が、居間を隠している。
月明かりが映す己の影。
障子に映る三人の影。
違うものをみ、同じものを見る。
影が一つ近づいてくる。
障子が、一つ開く。
「皆さん、入って下さい」
姫様が、姿を現し声をかけた。
「すごいじゃない」
「ほお・・・」
お蕎麦。たくさんあった。きちんと並んで置いてある。
「私と、葉子さんと、朱桜ちゃんでつくったんです」
「えっへん」
銀狐が、胸を張った。
「俺も、並べるの手伝ったんだぜ」
「へえ、太郎殿が」
珍しい物を見るかのように、黒之助が太郎を。
「さ、皆さん、召し上がって下さい」
皆、席に着く。ぴったり、同じだけ用意されていた。
「いただきます!!!」
皆が、言った。
どうでしょうか・・・・・・皆さんの口に合うでしょうか・・・
「彩花・・・うん。おいしいよ」
頭領・・・
「なかなかのもんだな」
茨木童子様・・・
良かった・・・頑張った甲斐があったというものです。
「はい、あ~んして」
「あ~ん」
酒呑童子様と鈴鹿御前様が同じことを・・・朱桜ちゃんと俊宗様恥ずかしそうです・・・
「なんだい、真似して」
「そっちこそ」
「こほん」
頭領が咳をすると二人とも慌てています。何故でしょうか?
「う~、今の刻は?」
「もう、朝だね」
「そっか、もう朝か・・・」
お蕎麦は、すぐになくなりました。
皆、本当に喜んでくれました。
もう少し、多く作ってもよかったかな。
それからは、またおしゃべりの時間。
途中で朱桜ちゃんが酒呑童子様の膝の上で寝てしまいました。
「初日の出、拝んでから帰るか」
「そうしますか兄上」
酒呑様が朱桜ちゃんを起こします。
「俊宗、あたいらもそうする?」
「いいな」
初日の出・・・もうそんな時間・・・・・・
「彩花、わしらも外に出るか」
「頭領・・・はい」
沙羅ちゃんも、光君達も、一緒に外に出ます。
ゆっくりと闇が消えていきます。
光が山々の後ろから現れます・・・あったかいお日さまの光。
初日の出です。
あれ、なぜでしょう?
皆が私から離れていきます・・・
私に背を向けます。
私何か悪いことしたのでしょうか。
頭領も鈴鹿様も太郎さんも・・・
皆が・・・皆がお日さまの光と共に消えていくような・・・
・・・まだ皆と、皆と離れたくないです・・・
「新年あけまして、おめでとうございまいます!!!」
くるりと姫様の方を向くと、皆の大声。朗らかな声。
皆からの新年のご挨拶。
「あ・・・・・・」
姫様、びっくりして目をぱちくり。
「姫様、びっくりした?」
葉子が言った。いたずらっ子っぽく。
「え、ええ、とても・・・」
「来年、いやもう今年か。よろしくな」
頭領が言う。
「はい!」
姫様が返事した。頭を、深々と下げる。
「皆々様、今年もよろしく・・・よろしくお願いします!」
居間と他の部屋をしきる障子や戸を取り外すと、妖達は庭に戻された。
葉子はまだ眠っている光をその尾に包んでいる。
しきりに桐壺が謝っていた。
う~んと光がのびをした。どうやら目が覚めたようで。
黒之助は頭領と何だろうと話している。頭領達も、外に出されたのだ。
鈴があったかいと鈴鹿御前は子猫を頬に。
藤原俊宗はその横に立っていて。
酒呑と茨木はもう少し飲みたかったと、そう口にしていた。
鐘の音が、途切れた。
妖達が己の声の大きさに、ふと気がつく。
誰も、話さなくなった。
障子が、居間を隠している。
月明かりが映す己の影。
障子に映る三人の影。
違うものをみ、同じものを見る。
影が一つ近づいてくる。
障子が、一つ開く。
「皆さん、入って下さい」
姫様が、姿を現し声をかけた。
「すごいじゃない」
「ほお・・・」
お蕎麦。たくさんあった。きちんと並んで置いてある。
「私と、葉子さんと、朱桜ちゃんでつくったんです」
「えっへん」
銀狐が、胸を張った。
「俺も、並べるの手伝ったんだぜ」
「へえ、太郎殿が」
珍しい物を見るかのように、黒之助が太郎を。
「さ、皆さん、召し上がって下さい」
皆、席に着く。ぴったり、同じだけ用意されていた。
「いただきます!!!」
皆が、言った。
どうでしょうか・・・・・・皆さんの口に合うでしょうか・・・
「彩花・・・うん。おいしいよ」
頭領・・・
「なかなかのもんだな」
茨木童子様・・・
良かった・・・頑張った甲斐があったというものです。
「はい、あ~んして」
「あ~ん」
酒呑童子様と鈴鹿御前様が同じことを・・・朱桜ちゃんと俊宗様恥ずかしそうです・・・
「なんだい、真似して」
「そっちこそ」
「こほん」
頭領が咳をすると二人とも慌てています。何故でしょうか?
「う~、今の刻は?」
「もう、朝だね」
「そっか、もう朝か・・・」
お蕎麦は、すぐになくなりました。
皆、本当に喜んでくれました。
もう少し、多く作ってもよかったかな。
それからは、またおしゃべりの時間。
途中で朱桜ちゃんが酒呑童子様の膝の上で寝てしまいました。
「初日の出、拝んでから帰るか」
「そうしますか兄上」
酒呑様が朱桜ちゃんを起こします。
「俊宗、あたいらもそうする?」
「いいな」
初日の出・・・もうそんな時間・・・・・・
「彩花、わしらも外に出るか」
「頭領・・・はい」
沙羅ちゃんも、光君達も、一緒に外に出ます。
ゆっくりと闇が消えていきます。
光が山々の後ろから現れます・・・あったかいお日さまの光。
初日の出です。
あれ、なぜでしょう?
皆が私から離れていきます・・・
私に背を向けます。
私何か悪いことしたのでしょうか。
頭領も鈴鹿様も太郎さんも・・・
皆が・・・皆がお日さまの光と共に消えていくような・・・
・・・まだ皆と、皆と離れたくないです・・・
「新年あけまして、おめでとうございまいます!!!」
くるりと姫様の方を向くと、皆の大声。朗らかな声。
皆からの新年のご挨拶。
「あ・・・・・・」
姫様、びっくりして目をぱちくり。
「姫様、びっくりした?」
葉子が言った。いたずらっ子っぽく。
「え、ええ、とても・・・」
「来年、いやもう今年か。よろしくな」
頭領が言う。
「はい!」
姫様が返事した。頭を、深々と下げる。
「皆々様、今年もよろしく・・・よろしくお願いします!」