張繍伝3
張繍:元董卓四天王張済の甥!叔母上命の純朴な青年!!!
雛:張済の妻。薄幸の美女!彼女に幸せは・・・
賈詡:現張済軍軍師
胡車児:元呂布軍。張済軍の豪傑
曹操:覇者の気質を持つ男。説明無用のあの人です!
典韋:曹操の忠実な護衛!
曹昂:曹操の長子!
典韋「うむ?」
従者だという男が怪しげなそぶりをしたので斬ろうと思った。
武器を振り下ろした。
いなくなった。
賈詡「空蝉の術」
仮面をつけていた。丁度顔半分だけを覆っている。
その仮面に見覚えがあった。
昔、西で名をはせた・・・
典韋「お前・・・・・・そうか、お前が、あの・・・」
賈詡が両手をふるう。すると、鉄甲が手の甲を覆った。
その手甲から鋼のかぎ爪が生えている。
三本の鋭い爪が両手に現れた。
賈詡「典韋殿。恨みはないが、我が主のため」
典韋が片手で双戟を横に振るう。
それを賈詡はがっちりと両方の手のかぎ爪で受け止めた。
もう片方の手で腰に付けていた袋をまさぐると、典韋が鉄の棒を放つ。
人の中指ほどのそれは、狙い違わず賈詡の心臓に向かっていく。
典韋「ぬ!」
賈詡の姿がまた消えた。
典韋「そこ!」
もう一本鉄の棒を放つ。
血が、飛び散った。
それは、典韋の血であった。
心臓を棒に突き刺された賈詡と、左手のかぎ爪を典韋の腹に突き刺している賈詡。
二人の、賈詡。一人が消えた。からんと鉄の棒が落ちた。
典韋が、また双戟を振り上げた。腹の傷などないかのように、その動きに変わりはない。
賈詡は、かぎ爪を抜き、後ろに避けようとした。
抜けなかった。
それは、典韋の強靱な筋肉に食い込んで動けなくなっていた。
また、血が飛び散った。
賈詡は、後ろに飛んだ。
そして、もう一度姿を消した。
曹操「そうか・・・・・・あなたを私に差し出して・・・油断させたというわけか。念の入ったことだ」
曹操が剣を抜き、雛に突きつける。
雛は何も言わなかった。
まだ、何が起こっているのか理解出来ていないのだ。
曹操「何か、言い残すことはないか?」
雛「言い残すこと?」
つまり、私はここで死ぬというの?
曹操「お前の従者も典韋が斬っていよう。おぬしを助けるものは誰もおらん」
雛「・・・・・・あの、甥に、元気でね、そう伝えて下さい」
曹操「・・・おぬしを利用した男にか?」
雛「え・・・?」
賈詡「違う!」
鉄のかぎ爪が、曹操の剣をはじき飛ばす。
賈詡が曹操と雛の間に立つ。同時に、典韋が部屋の壁を突き破って現れた。
典韋「殿、指一本、触れさせない!」
典韋の腹には、まだかぎ爪が突き刺さっている。それには、人の腕がついていた。
賈詡の左手の肘から先は、なかった。
雛「・・・・・・」
賈詡「・・・・・・」
曹操「・・・・・・」
典韋「・・・・・・」
無言で、四人が対峙した。
賈詡と典韋の足下にどんどん血の池が作られていく。
それでも、お互い構えを崩さなかった。
曹昂「父上!」
また、部屋に飛び込んでくるものがあった。
曹操の長子、曹昂である。
曹操の護衛についていた者は、既に全員張繍軍との戦に駆り出されている。
典韋がいれば・・・そう思い、全員曹操の部屋から離れたのだった。
曹操「おお、曹昂か」
曹昂「早くお逃げ下され!」
曹操「この者達は・・・」
曹昂「今は逃げることが先決です!」
曹操「う~ん・・・」
曹昂「父上!」
幼いながらも、曹昂の表情には覇気があった。
曹操「分かった分かった。典韋!行くぞ」
曹操、典韋、曹昂が去っていく。
雛と賈詡はそこに立ちすくんでいた。
賈詡の構えがゆれる。
雛が、悲鳴をあげた。
自らがつくった血の池に、おのが身体を沈めたのだ。
雛:張済の妻。薄幸の美女!彼女に幸せは・・・
賈詡:現張済軍軍師
胡車児:元呂布軍。張済軍の豪傑
曹操:覇者の気質を持つ男。説明無用のあの人です!
典韋:曹操の忠実な護衛!
曹昂:曹操の長子!
典韋「うむ?」
従者だという男が怪しげなそぶりをしたので斬ろうと思った。
武器を振り下ろした。
いなくなった。
賈詡「空蝉の術」
仮面をつけていた。丁度顔半分だけを覆っている。
その仮面に見覚えがあった。
昔、西で名をはせた・・・
典韋「お前・・・・・・そうか、お前が、あの・・・」
賈詡が両手をふるう。すると、鉄甲が手の甲を覆った。
その手甲から鋼のかぎ爪が生えている。
三本の鋭い爪が両手に現れた。
賈詡「典韋殿。恨みはないが、我が主のため」
典韋が片手で双戟を横に振るう。
それを賈詡はがっちりと両方の手のかぎ爪で受け止めた。
もう片方の手で腰に付けていた袋をまさぐると、典韋が鉄の棒を放つ。
人の中指ほどのそれは、狙い違わず賈詡の心臓に向かっていく。
典韋「ぬ!」
賈詡の姿がまた消えた。
典韋「そこ!」
もう一本鉄の棒を放つ。
血が、飛び散った。
それは、典韋の血であった。
心臓を棒に突き刺された賈詡と、左手のかぎ爪を典韋の腹に突き刺している賈詡。
二人の、賈詡。一人が消えた。からんと鉄の棒が落ちた。
典韋が、また双戟を振り上げた。腹の傷などないかのように、その動きに変わりはない。
賈詡は、かぎ爪を抜き、後ろに避けようとした。
抜けなかった。
それは、典韋の強靱な筋肉に食い込んで動けなくなっていた。
また、血が飛び散った。
賈詡は、後ろに飛んだ。
そして、もう一度姿を消した。
曹操「そうか・・・・・・あなたを私に差し出して・・・油断させたというわけか。念の入ったことだ」
曹操が剣を抜き、雛に突きつける。
雛は何も言わなかった。
まだ、何が起こっているのか理解出来ていないのだ。
曹操「何か、言い残すことはないか?」
雛「言い残すこと?」
つまり、私はここで死ぬというの?
曹操「お前の従者も典韋が斬っていよう。おぬしを助けるものは誰もおらん」
雛「・・・・・・あの、甥に、元気でね、そう伝えて下さい」
曹操「・・・おぬしを利用した男にか?」
雛「え・・・?」
賈詡「違う!」
鉄のかぎ爪が、曹操の剣をはじき飛ばす。
賈詡が曹操と雛の間に立つ。同時に、典韋が部屋の壁を突き破って現れた。
典韋「殿、指一本、触れさせない!」
典韋の腹には、まだかぎ爪が突き刺さっている。それには、人の腕がついていた。
賈詡の左手の肘から先は、なかった。
雛「・・・・・・」
賈詡「・・・・・・」
曹操「・・・・・・」
典韋「・・・・・・」
無言で、四人が対峙した。
賈詡と典韋の足下にどんどん血の池が作られていく。
それでも、お互い構えを崩さなかった。
曹昂「父上!」
また、部屋に飛び込んでくるものがあった。
曹操の長子、曹昂である。
曹操の護衛についていた者は、既に全員張繍軍との戦に駆り出されている。
典韋がいれば・・・そう思い、全員曹操の部屋から離れたのだった。
曹操「おお、曹昂か」
曹昂「早くお逃げ下され!」
曹操「この者達は・・・」
曹昂「今は逃げることが先決です!」
曹操「う~ん・・・」
曹昂「父上!」
幼いながらも、曹昂の表情には覇気があった。
曹操「分かった分かった。典韋!行くぞ」
曹操、典韋、曹昂が去っていく。
雛と賈詡はそこに立ちすくんでいた。
賈詡の構えがゆれる。
雛が、悲鳴をあげた。
自らがつくった血の池に、おのが身体を沈めたのだ。