小説置き場2

山岳に寺社仏閣に両生類に爬虫類に妖怪に三国志にetcetc

姉妹、喧嘩(3)

 城を出て、馬小屋の前を通って、森の中へ

呂布「痛い・・・あ、いた」
 
 ポイッと呂布さんを離す貂蝉
 怖い顔だ

貂蝉「もう一度聞きますね・・・食べましたか?」
呂布「違うよ!」
 
 ひゅっと何かが呂布の頬をかすめた
 貂蝉の拳が放たれたのだ

貂蝉「次は・・・・・・当てるかも・・・呂布さまといえど・・・可愛い妹といえど・・・いえ、呂布さまだからこそ・・・」
呂布「ええー!!!」
 
 それは、いつものにこにこしている貂蝉ではない
 きれた、貂蝉
 貂蝉は、ただの舞姫じゃない
 王允の養娘としてたくさんのことをたたき込まれてきた
 それは、武芸百般もだ
 そして、貂蝉の腕前は、
呂布軍の影の最強じゃねえ?」
 と囁かれるほどほどのもの
 現に、呂布軍の武将である高順、張遼よりも上なのだ

高順「やばい・・・貂蝉さま、きれてる・・・」
 
 後を追いかけこっそり見てる高順
 ガクガクブルブルだ
 一度、殺意の波動に目覚めた貂蝉にズタボロにされたことがあるのだ

高順「何とかしてとめないと・・・」
 
 言葉とは裏腹に、高順の体は動かない
 貂蝉の放つ巨大な気に飲み込まれていたのだ

呂布「やめてよ!貂蝉姉様!」
 
 これも、よけるのか・・・
 そういえば、呂布さまとはちゃんと勝負したことはなかったなあ・・・
 呂布さんは貂蝉の攻撃を全部よけていた
 よけるだけで、自分から攻撃をしない
 ずっと貂蝉に呼びかけていた
 貂蝉呂布さんも二人とも素手である
 呂布さんは方天画戟を自分の部屋に置いてきた
 貂蝉は、色々隠し持っているけどさすがにそれを使うのは不味いかなあと
 貂蝉の攻撃は最初こそ顔をかすめたけれど、あとは顔以外
 その分、ちょっと読みやすい
 普通の人はそれでも、よけられないだろうが
 貂蝉も普通じゃないけど、呂布さんも普通じゃないのだ
 貂蝉の蹴りが、呂布の足下を払おうと
 それを、飛んでよける
 飛んで、呂布にはじめて隙が出来た
 空中では動きが固定される
 貂蝉の強烈な突きが放たれた
 呂布の、顔に伸びていく
 今日二回目の顔への攻撃だ。日の光が、貂蝉の距離感を狂わせた
 本当は顔以外を狙っていたのだけれど・・・
 呂布は、首を捻ってよけた
 パーンと大きな音がした
 呂布さんが、尻餅をついた
 頬が赤くなっている
 貂蝉の突きは平手打ちに変化して呂布さんを襲ったのだ
 さすがに、よけきれなかった
 大きく飛ばされた
 反射的にやってしまったとちょっと後悔
 貂蝉が、息をついた
 一連の攻防は、貂蝉の体力を大きく削った
 
 ちなみに、呂布さんは疲れていないです