小説置き場2

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姉妹、喧嘩(4)

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呂布「やって・・・ないのに・・・」
 
 呂布さんが、起きあがる

呂布「やって・・・ないって・・・何度も言ってるのに・・・」
貂蝉呂布さま、まだそのような・・・」
呂布「ピ・・・」
貂蝉「ピ?」
呂布「ピギャー!!!」
 
 呂布さん、泣き出してしまった
 オーイオーイ大粒の涙をこぼしてる
 怪獣みたいだ
 貂蝉は、もしかして本当に食べてないかもとちょっと思った

呂布「やって・・・ないのに・・・エグ」
貂蝉呂布さま・・・あの・・・」
呂布「やって、ないのに・・・私・・・やって・・・わたしは・・・龍・・・」
高順「まずい!」
 
 高順が、飛び出してきた
 呂布の泣き声に貂蝉の殺気がゆるんでいたのだ
 高順は、顔色を変えている。剣を抜いていた

貂蝉「高順さま・・・見ていらしたのですか・・・」
 
 何かが、爆発した
 何かが急激に膨らんで、一気に爆発した
 闘気
 貂蝉の殺気がそれに呼応する
 振り返る

貂蝉「貴方は・・・誰?」
 
 目の前の、少女はよく知っている、はずだ
 私の、妹だ
 でも、目の前の人物は、知らない
 さらさらだった黒い髪が、ドレッドヘアーになっている
 金色のオーラが見える
 別人だ
 呂布さまであって、呂布さまじゃない

高順「超・呂布・・・」
 
 どこぞの武神が宿るときがあるともう一人の妹が言っていた
 これが、そうなのか
 呂布はつまらなそうに己の義姉を見た
 その後ろで剣を抜いている高順の姿も見る
 一つあくびをつくと、
 武神は無言で貂蝉に襲いかかった

貂蝉「な・・・」
 
 いつの間にか距離を縮められていた
 全く反応が出来なかった
 本気の、貂蝉がだ
 にたりと、武神が笑う
 拳が、貂蝉の腹にぶちこまれた
 よけることができなかった
 吹っ飛ばされる
 高順が剣を捨てて貂蝉の体を押さえた
 二人は後ろの林に突っ込んだ

高順「いてててて・・・」
貂蝉「あ・・・・・・」
 
 呂布は首を傾けると、ケラケラ、ケラケラと笑った
 とっさに体を捻って急所はさけた
 高順がクッションになってくれたおかげで、木にぶつかった衝撃もやわらいだ
 ズズっと木々が倒れていくのが見えた
 まだ、動ける
 貂蝉が立ち上がるのを見て、呂布はケラケラ笑うのをやめた
 高順は、動けない
 呂布がゆっくりと近づいてくる
 貂蝉は、構えをとった
 無駄だとわかっていても、構えをとった

貂蝉「これが、戦姫・・・」
 
 今更ながらに、呂布が天下無双といわれるのが理解できた
 何かが、三人の間を遮るように現れた
 呂布が、その表情を変える

呂布「せ、赤兎!!!」
 
 現れたのは、呂布の愛馬・赤兎と、張遼の愛馬・黒捷であった