徐州の戦(終)
返事はなかった。呂布が少しずつ落ちていく。
赤く染まっていた。
敵の血ではない。
矢。
もう一度叫ぼうとした。怒気を込めて叫ぼうとした。なにを、しているのかと。
はっと、気づいた。叫ぶのをやめた。
涙が、零れた。
矢が刺さっていた。魏越の、首に。
青白い、顔。目を、見開いたまま。
それでも、手綱は離さなかったのだ。
ここまで、呂布を落とさずに来たのだ。
魏続が呂布の身体を支えた。
そこで初めて、魏越の身体が揺れた。
魏続は、魏越の身体も支えた。
こときれていた。
呂布は、まだ生きていた。
吠えた。
魏続「伝令! 呂布様が負傷! 陳珪の裏切り! それだけを伝えろ!」
各伝令「御意!」
魏続「魏越ー……ちくしょう! みんないねえ! ちくしょう! 」
魏続軍兵士「魏続様!」
魏続「……退くぞ」
魏続軍兵士「……」
魏続「てめえら! 死んでも呂布様を守り抜けよ!」
魏続軍兵士「は!」
守り抜いた。
なんとか、守り抜いた。
陳宮が、下邳城にいた留守部隊六千のうち五千を魏延に率いさせ、参戦させた。
それが効いた。
裏切り者を、少しの間止めることができた。
その間に、逃げ切ったのだ。
下邳城に傷だらけの獣が戻る。
宋憲軍、侯成軍一万四千のうち、六千。
高順軍一万五千のうち、八千。
張遼、臧覇の軍は小沛に流れたが、城に入ることが出来なかった。
陳登も、裏切ったのだ。
七千の兵は、遊軍となって、各地を漂っている。
魏延が率いた五千のうち、千。
魏続軍七千のうち、三百。
呂布麾下。
最強を誇った部隊は、誰も、生きて戻ることが出来なかった。
そして、呂布。
深い深い眠りに、落ちていた。
~下邳城攻防戦に、続く~
赤く染まっていた。
敵の血ではない。
矢。
もう一度叫ぼうとした。怒気を込めて叫ぼうとした。なにを、しているのかと。
はっと、気づいた。叫ぶのをやめた。
涙が、零れた。
矢が刺さっていた。魏越の、首に。
青白い、顔。目を、見開いたまま。
それでも、手綱は離さなかったのだ。
ここまで、呂布を落とさずに来たのだ。
魏続が呂布の身体を支えた。
そこで初めて、魏越の身体が揺れた。
魏続は、魏越の身体も支えた。
こときれていた。
呂布は、まだ生きていた。
吠えた。
魏続「伝令! 呂布様が負傷! 陳珪の裏切り! それだけを伝えろ!」
各伝令「御意!」
魏続「魏越ー……ちくしょう! みんないねえ! ちくしょう! 」
魏続軍兵士「魏続様!」
魏続「……退くぞ」
魏続軍兵士「……」
魏続「てめえら! 死んでも呂布様を守り抜けよ!」
魏続軍兵士「は!」
守り抜いた。
なんとか、守り抜いた。
陳宮が、下邳城にいた留守部隊六千のうち五千を魏延に率いさせ、参戦させた。
それが効いた。
裏切り者を、少しの間止めることができた。
その間に、逃げ切ったのだ。
下邳城に傷だらけの獣が戻る。
宋憲軍、侯成軍一万四千のうち、六千。
高順軍一万五千のうち、八千。
張遼、臧覇の軍は小沛に流れたが、城に入ることが出来なかった。
陳登も、裏切ったのだ。
七千の兵は、遊軍となって、各地を漂っている。
魏延が率いた五千のうち、千。
魏続軍七千のうち、三百。
呂布麾下。
最強を誇った部隊は、誰も、生きて戻ることが出来なかった。
そして、呂布。
深い深い眠りに、落ちていた。
~下邳城攻防戦に、続く~