第二十二話(3)~鬼~
肩を叩かれ、目を開ける。
荒野。巨大な建物が見える。鬼の顔をかたどっているような巨大な建造物。
「ここが・・・」
「うん。ここが東の鬼さんの住む場所です。あの正面に見えるのがが鈴鹿様の居城ですよ」
岩で作られた巨大な城。ごつごつとした無骨さが滲み出ている。
「父さまの城と全然違う・・・でかいけど地味」
「鬼ヶ城は派手ですからね~」
「父さまの城?」
大獄丸が首を傾げた。
「あはははは」
「・・・」
案内された部屋には鈴鹿御前と藤原俊宗が。
「彩花ちゃ~ん」
鈴鹿御前がきゅっと姫様を抱きしめ頬ずりする。ちょっと姫様苦しそう。
「鈴鹿様、痛いです」
「あ、ごめんごめん。ええっと、その子は・・・」
「朱桜ちゃんです」
「朱桜ちゃん、そうそう朱桜ちゃんね」
頭を撫でる。
「改めてよろしく!」
朱桜はおじぎだけを。
「あ、ちょっと見せたい仔がいるから」
そう言って、鈴鹿御前はどこかに行ってしまった。
「すみません、鈴鹿が突然呼び出して」
「いえいえ」
「・・・?」
「そっか、朱桜ちゃん会ってないもんね。藤原俊宗様。鈴鹿様の旦那さまです」
「・・・藤原?人?でも角?」
男には立派な角が二本ある。
「わたしは人から鬼になったのですよ・・・って、知りませんか?」
こくりと、頷く。
「結構有名な話なんですけどね。そっか、知らないか・・・」
ちょっと、残念そうである。
「人から鬼・・・」
「鈴鹿と同じ時を過ごすためにね。はは」
ちょっと恥ずかしそうであった。
にゃ~ん。鳴き声。
猫の、鳴き声。仔猫が俊宗にすり寄ってきた。
「これが例の仔猫ですか」
姫様が喉を撫でる。嬉しそうに、またにゃ~んと鳴いた。
「そうです。いや、あの時は大変でした・・・・・・そうそう、鈴と名付けたんですよ」
「鈴・・・良い名ですね」
「鈴~、鈴~」
鈴鹿御前が仔猫の名を呼びながら戻ってきた。
鈴が姫様達と居るのを見つけると、
「もう、こんなところに居たの!」
そう言うと、鈴を抱き上げた。仔猫は鈴鹿御前の顔を舐める。
「こら、くすぐったいぞ」
「仲良さそうですね」
「また鈴は俊宗に色目使ったのかな~」
「彩花さま、あれ仲良いんですか?」
「あはははは・・・・・・」
鈴は鈴鹿御前の膝の上。
姫様、朱桜、鈴鹿御前、藤原俊宗、大獄丸の五人でお食事を。
屈強な鬼がどんどん食事を運んでくる。
「そこ、乱暴に扱わないで!」
鈴が、にゃんと、驚いた。
「は、はい!」
屈強な鬼が縮こまる。
まさに、鬼姫といったところ。
「鈴鹿御前さん・・・・・・ちょっと怖い」
「そんなことないですよ」
ぽそりと言う朱桜。姫様がそれを否定する。
「いや、鈴鹿は怖いぞ~・・・・・・いて!いてて!」
「あ・に・う・え?」
「ちょ、腕!腕折れるから!」
大獄丸の腕がおかしな方向に曲げられて。
鈴が鈴鹿御前の膝の上から逃げ出した。
「にゃ~」
朱桜の膝の上に乗ると、気持ちよさそうに目をつぶった。
「鈴鹿、鈴が逃げたぞ」
静かに俊宗が指摘する。
「え、あ、本当だ。あれ、随分朱桜ちゃんに甘えてるね」
「お前よりその子のほうが・・・だから痛いって!」
「兄上、無駄口は叩かないように・・・いい?」
「はい」
荒野。巨大な建物が見える。鬼の顔をかたどっているような巨大な建造物。
「ここが・・・」
「うん。ここが東の鬼さんの住む場所です。あの正面に見えるのがが鈴鹿様の居城ですよ」
岩で作られた巨大な城。ごつごつとした無骨さが滲み出ている。
「父さまの城と全然違う・・・でかいけど地味」
「鬼ヶ城は派手ですからね~」
「父さまの城?」
大獄丸が首を傾げた。
「あはははは」
「・・・」
案内された部屋には鈴鹿御前と藤原俊宗が。
「彩花ちゃ~ん」
鈴鹿御前がきゅっと姫様を抱きしめ頬ずりする。ちょっと姫様苦しそう。
「鈴鹿様、痛いです」
「あ、ごめんごめん。ええっと、その子は・・・」
「朱桜ちゃんです」
「朱桜ちゃん、そうそう朱桜ちゃんね」
頭を撫でる。
「改めてよろしく!」
朱桜はおじぎだけを。
「あ、ちょっと見せたい仔がいるから」
そう言って、鈴鹿御前はどこかに行ってしまった。
「すみません、鈴鹿が突然呼び出して」
「いえいえ」
「・・・?」
「そっか、朱桜ちゃん会ってないもんね。藤原俊宗様。鈴鹿様の旦那さまです」
「・・・藤原?人?でも角?」
男には立派な角が二本ある。
「わたしは人から鬼になったのですよ・・・って、知りませんか?」
こくりと、頷く。
「結構有名な話なんですけどね。そっか、知らないか・・・」
ちょっと、残念そうである。
「人から鬼・・・」
「鈴鹿と同じ時を過ごすためにね。はは」
ちょっと恥ずかしそうであった。
にゃ~ん。鳴き声。
猫の、鳴き声。仔猫が俊宗にすり寄ってきた。
「これが例の仔猫ですか」
姫様が喉を撫でる。嬉しそうに、またにゃ~んと鳴いた。
「そうです。いや、あの時は大変でした・・・・・・そうそう、鈴と名付けたんですよ」
「鈴・・・良い名ですね」
「鈴~、鈴~」
鈴鹿御前が仔猫の名を呼びながら戻ってきた。
鈴が姫様達と居るのを見つけると、
「もう、こんなところに居たの!」
そう言うと、鈴を抱き上げた。仔猫は鈴鹿御前の顔を舐める。
「こら、くすぐったいぞ」
「仲良さそうですね」
「また鈴は俊宗に色目使ったのかな~」
「彩花さま、あれ仲良いんですか?」
「あはははは・・・・・・」
鈴は鈴鹿御前の膝の上。
姫様、朱桜、鈴鹿御前、藤原俊宗、大獄丸の五人でお食事を。
屈強な鬼がどんどん食事を運んでくる。
「そこ、乱暴に扱わないで!」
鈴が、にゃんと、驚いた。
「は、はい!」
屈強な鬼が縮こまる。
まさに、鬼姫といったところ。
「鈴鹿御前さん・・・・・・ちょっと怖い」
「そんなことないですよ」
ぽそりと言う朱桜。姫様がそれを否定する。
「いや、鈴鹿は怖いぞ~・・・・・・いて!いてて!」
「あ・に・う・え?」
「ちょ、腕!腕折れるから!」
大獄丸の腕がおかしな方向に曲げられて。
鈴が鈴鹿御前の膝の上から逃げ出した。
「にゃ~」
朱桜の膝の上に乗ると、気持ちよさそうに目をつぶった。
「鈴鹿、鈴が逃げたぞ」
静かに俊宗が指摘する。
「え、あ、本当だ。あれ、随分朱桜ちゃんに甘えてるね」
「お前よりその子のほうが・・・だから痛いって!」
「兄上、無駄口は叩かないように・・・いい?」
「はい」