小説置き場2

山岳に寺社仏閣に両生類に爬虫類に妖怪に三国志にetcetc

2005-11-20から1日間の記事一覧

第二十二話(4)~鬼~

「そしたらこの人がね~、「お前のためなら人の身などいつでも捨てられる」だって。凄くない?」 鈴鹿と対面の姫様はにこにこと聞いている。本当に楽しそうに。時折、うんうんと相づちをうつ。 鈴鹿の隣の大獄丸は呆れ顔。さっきからずっと酒をあおっていて…

第二十二話(3)~鬼~

肩を叩かれ、目を開ける。 荒野。巨大な建物が見える。鬼の顔をかたどっているような巨大な建造物。 「ここが・・・」 「うん。ここが東の鬼さんの住む場所です。あの正面に見えるのがが鈴鹿様の居城ですよ」 岩で作られた巨大な城。ごつごつとした無骨さが…

第二十二話(2)~鬼~

牛鬼が動く。わさわさと見えない道を空に向かって歩いていく。 光の輪。それをくぐる。くぐった側から、ゆっくりと身体が消えていく。 顔から胴、そして牛車と順に。 「あの、彩花さま」 牛車の中。 振動は無い。 二人だけ。 広くは、ない。 「はい?」 「寺…

第二十二話(1)~鬼~

とすっという音がした。何かが、地面に下りる音。 同時に寺が霧に包まれる。寺の中にも霧は現れた。 巨大な影が門の前に停まった。さわさわ、さわさわ。 影は絶えず動いている。 巨大な影の背から大男が降り立つ。つかつかと寺の中に入る。 ひゅっという、霧…