愉快な呂布一家~侵入者(1)~
「そろそろ……お腹が空く頃ね……」
ゆっくりと、布団から抜け出ると、貂蝉は愛する子共達のところへ。
隣のベッドの雛の安らかな寝顔に、
「……よかったですね……本当に。安心、したんですよ」
そういった。
「うん、待ってて……あれ? 窓、開けたっけ?」
窓が、あいていた。
おかしいなあっと。
開けた覚え、ないのに。
ないのに……
「まさか!」
からんと、何かが投げ込まれた。竹筒。
煙が噴き出る。
「嘘!」
賈詡が異変に気づいてかっと目を見開いた。辺りを、甘い匂いの煙が立ちこめる。
再度薄れゆく意識の中、奥歯を、がちりと噛んだ。
その竹筒は、呂布一行が泊まる部屋全てに、投げ込まれた。
「もう……いいかな……」
「いいんですか? 呂布一行にだけ仕掛けて?」
「しょうがないの! これ三つしか持ってなかったんだから! それより、ちゃっちゃとやっちゃうよ!」
「へーい」
怪しい人影が、貂蝉の部屋に。
真っ黒な衣装。もちろん、顔も隠していて。
一人は、目を見張るような巨体。
もう一人は小柄。
隣が大きいので、余計にそう、みえる。
主なのは、どうやら小柄な影のようで。
「よしおし、よく眠ってるね」
音を立てずに、さっと部屋に。
ここは、三階。巨体の方も部屋に入る。
すーっと、銀色に光る紐が、小柄な影の手に戻っていった。
「さ、探すわよ」
「……でも」
「やるの!」
「ひ!」
小柄な影に、叱られて。
二つの影は、あちこちそちこち。
がさごそがさごそ。
物色、である。
「へえ……健気だね……」
小柄な影が言った。
貂蝉は、我が子を守るかのように覆い被さっていた。
「……どう?」
「ないですなあ……」
「ないじゃないの! 絶対にあるはずだから」
伝国の、玉璽。
小柄な影はそう言った。
そう、言ったとき、
「え?」
すくっと、我が子を守るように倒れていた女が立ち上がる。
桃色の着物に、妖艶な殺気を立ち上げながら、
「へえ……」
と言った。
「目的は、 伝国の玉璽なのね……」
ゆっくりと、布団から抜け出ると、貂蝉は愛する子共達のところへ。
隣のベッドの雛の安らかな寝顔に、
「……よかったですね……本当に。安心、したんですよ」
そういった。
「うん、待ってて……あれ? 窓、開けたっけ?」
窓が、あいていた。
おかしいなあっと。
開けた覚え、ないのに。
ないのに……
「まさか!」
からんと、何かが投げ込まれた。竹筒。
煙が噴き出る。
「嘘!」
賈詡が異変に気づいてかっと目を見開いた。辺りを、甘い匂いの煙が立ちこめる。
再度薄れゆく意識の中、奥歯を、がちりと噛んだ。
その竹筒は、呂布一行が泊まる部屋全てに、投げ込まれた。
「もう……いいかな……」
「いいんですか? 呂布一行にだけ仕掛けて?」
「しょうがないの! これ三つしか持ってなかったんだから! それより、ちゃっちゃとやっちゃうよ!」
「へーい」
怪しい人影が、貂蝉の部屋に。
真っ黒な衣装。もちろん、顔も隠していて。
一人は、目を見張るような巨体。
もう一人は小柄。
隣が大きいので、余計にそう、みえる。
主なのは、どうやら小柄な影のようで。
「よしおし、よく眠ってるね」
音を立てずに、さっと部屋に。
ここは、三階。巨体の方も部屋に入る。
すーっと、銀色に光る紐が、小柄な影の手に戻っていった。
「さ、探すわよ」
「……でも」
「やるの!」
「ひ!」
小柄な影に、叱られて。
二つの影は、あちこちそちこち。
がさごそがさごそ。
物色、である。
「へえ……健気だね……」
小柄な影が言った。
貂蝉は、我が子を守るかのように覆い被さっていた。
「……どう?」
「ないですなあ……」
「ないじゃないの! 絶対にあるはずだから」
伝国の、玉璽。
小柄な影はそう言った。
そう、言ったとき、
「え?」
すくっと、我が子を守るように倒れていた女が立ち上がる。
桃色の着物に、妖艶な殺気を立ち上げながら、
「へえ……」
と言った。
「目的は、 伝国の玉璽なのね……」