小説置き場2

山岳に寺社仏閣に両生類に爬虫類に妖怪に三国志にetcetc

2006-10-19から1日間の記事一覧

愉快な呂布一家~侵入者(4)~

街の外れ。そこで影は立ち止まった。 後ろには――二人の鬼の姿。 「さてと、観念、したようね」 「……大人しくしたほうがいいよ……死にたく、なければ」 「ぐ……」 「う、あー!」 また、光の糸が。 貂蝉も、同じ光の糸を。 今度は、完全に貂蝉が勝った。 糸は、…

愉快な呂布一家~侵入者(3)~

「呂……呂布……」 口を、ぱくぱくとさせる二つの影。 目の前の事実が、信じられなくて。 「そんな、眠り薬……こいつも解毒剤を?」 「へ? なにそれ? あー、この甘い匂い?」 瞳を爛々と飢えた獣のように輝かせながら、無邪気に言った。 「殺気に反応して起き…

愉快な呂布一家~侵入者(2)~

「な、なんで! 猫眠煙を吸って!」 甲高い声。少年とも、少女ともとれるような声を、小柄な影はだした。 「少々、慌てましたが、仕事柄この手の薬には、手慣れているので」 「ちっ……」 「一目で、眠り薬だとは。あとは、解毒剤を飲めばいい」 「はあ? ……ど…

愉快な呂布一家~侵入者(1)~

「そろそろ……お腹が空く頃ね……」 ゆっくりと、布団から抜け出ると、貂蝉は愛する子共達のところへ。 隣のベッドの雛の安らかな寝顔に、 「……よかったですね……本当に。安心、したんですよ」 そういった。 「うん、待ってて……あれ? 窓、開けたっけ?」 窓が、…

愉快な呂布一家~お泊まり(2)~

「えっと、高順殿、それでどうなったのです部屋割りは」 「呂布殿と張遼殿、貂蝉さまと雛殿だそうだ」 風呂上がりの牛乳を飲みながら、高順が陳宮に。 飲むか? ときかれ、私はこっちと小銭を出して果物牛乳を売店のおじさんに受け取る。 「大浴場……まあまあ…

愉快な呂布一家~お泊まり(1)~

西域につながる小さな宿場街。 人と人が、物と物が、いき交いゆき交い、それなりに繁盛して。 その街の、ほどほどの大きさの宿。 そこに結構な数の団体客がいた。 皆、お揃いの薄茶の緩やかな服を着て、フードで顔を隠していた。 通りかかる人は、はて、と訝…