小説置き場2

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狼風奇譚~第4話~

「最近、暇だな」
「ああ・・・」
 丘の上の家の一室。道三と白狼はいすに座ってぼんやりしていた。
「修行をつけていたほうがよかったんじゃないのか」
「ああ・・・」
「本当にそう思っているのか」
「ああ・・・」
 やれやれ、そう道三が頭を振った。
 不意に白狼が顔を窓に向けた。道三もつられたように顔を向けた。
 火の玉が、二人のもとに近づいていた。


「炎双大師、少しは考えて下さいな」
 瑶が、男に説教をしている。優男風の若い男だった。周りで、道三と白狼が黙々と散らばったものを片づけていた。
「すまんすまん。少し失敗した、許せ」
「で、何の用だ」
 道三が口を開く。炎双が笑った。
「なに、ちょっとした暇つぶしにな。新しい術も試したかったし」
 ため息をつくと、瑶は部屋を出ていった。
「瑶殿はどこへ?」
「茶でもいれにいったんだろう」
「双刀を、とりにいったのではないか・・・」
 炎双と道三の顔が、蒼くなった。


 茶を飲みながら3人が話す。炎双は、白狼・道三の共通の数少ない友人であった。
「久しぶりだな」
「ああ・・・」
姉弟は出かけているのか」
「ああ・・・」
「・・・」
「なにか、大事なことを伝えにきたのではないのですか?」
 ふむ。もったいぶったように、炎双がうなずく。
「最近、魔獣が殺されている」
「ほう・・・」
「魔獣が、ですか?物好きな奴がいるもんですな」
「それも、ある程度名のある奴だ」
「初めて聞くは・・・」
 そういいかけて、白狼が姿を消した。
「おい!」
「急にどうしたのだ」
 

 門の前に白狼は立っていた。
「どうした・・・」
 駆けてきた、小狼に尋ねる。
「どうした・・・」
 もう一度、優しく尋ねる。
「魔獣が」
 声がでてこない。
「落ち着いて話すがいい・・・」
 静かな、優しい声だった。小狼は、堰を切ったように話し始めた。