小説-あやかし姫-第七話~3~
「茨木さん」
姫様の声と、着物をちょいちょいと引っ張られて茨木は我に返った。
視線の先には、青ざめた顔の妖達が。
「ああ、すまんすまん」
「大丈夫ですか、皆さん」
姫様の声にう、うんと返事が返る。とりあえず、大丈夫そうではあった。
「茨木さん!」
「ほんと、すまないな」
静かな声は、小さく優しく。おや、っと皆が首を傾げる。
妖艶で自信を含んでいるのが茨木の声だ。だが、今の声はいつもの声ではなかった。頭領ですら、運びかけの杯を止めている。
当の茨木は、優しい目で女の子を見ていた。
「とめてくれて、ありがとな」
女の子は下を向いたままだった。
「で、その女の子は誰なんだ?」
頭領の質問。皆の疑問。最初から気になるところだった。
「この子、この子はな・・・・・・」
しばしの、沈黙。
「この子は?」
「・・・・・・兄の子だ」
「なんだ、兄貴の子か。」
「てっきり茨木様の子かと・・・・・・」
「おいらもそう思ってた」
妖達が好き勝手しゃべり始めた。今まで静かにしていたので、その分騒ぎが大きくなる。
「兄の子・・・・・・だと?」
頭領の顔は驚きに包まれて。それは姫様も三人も同じ。段々と、妖達が黙りだす。
あっと気付いた妖の顔はどれも驚きに満ちていた。
「兄って・・・・・・」
「それがどうかしたんですか?」
沙羅の声。ばっと皆の顔が動いた。皆の視線が集まる。
「え、え!?」
急に皆に睨まれて、かっぱの子は泣きそうになる。姫様が駆け寄って、大丈夫と声をかける。
「だ、だって、姪御さんを連れていてもどうってことないじゃないですか」
半べそになって姫様に慰められながらそういった。
「そうだな、不思議なことじゃない。姪っ子を連れて出かけるのはよくあることだ・・・・・・」
少し考える。
「俺の兄は酒呑童子というんだ、知っているか」
かっぱの子は息を飲んだ。それは有名な名だった。
「酒呑童子・・・・・・鬼の王・・・・・・」
「その通り」
「じ、じゃあ、あ、あなたは茨木童子?」
「それもその通り」
驚いて息ができなかった。
「沙羅ちゃん」と姫様が背中をさすってくれて、何とか呼吸の続きができた。
姫様の声と、着物をちょいちょいと引っ張られて茨木は我に返った。
視線の先には、青ざめた顔の妖達が。
「ああ、すまんすまん」
「大丈夫ですか、皆さん」
姫様の声にう、うんと返事が返る。とりあえず、大丈夫そうではあった。
「茨木さん!」
「ほんと、すまないな」
静かな声は、小さく優しく。おや、っと皆が首を傾げる。
妖艶で自信を含んでいるのが茨木の声だ。だが、今の声はいつもの声ではなかった。頭領ですら、運びかけの杯を止めている。
当の茨木は、優しい目で女の子を見ていた。
「とめてくれて、ありがとな」
女の子は下を向いたままだった。
「で、その女の子は誰なんだ?」
頭領の質問。皆の疑問。最初から気になるところだった。
「この子、この子はな・・・・・・」
しばしの、沈黙。
「この子は?」
「・・・・・・兄の子だ」
「なんだ、兄貴の子か。」
「てっきり茨木様の子かと・・・・・・」
「おいらもそう思ってた」
妖達が好き勝手しゃべり始めた。今まで静かにしていたので、その分騒ぎが大きくなる。
「兄の子・・・・・・だと?」
頭領の顔は驚きに包まれて。それは姫様も三人も同じ。段々と、妖達が黙りだす。
あっと気付いた妖の顔はどれも驚きに満ちていた。
「兄って・・・・・・」
「それがどうかしたんですか?」
沙羅の声。ばっと皆の顔が動いた。皆の視線が集まる。
「え、え!?」
急に皆に睨まれて、かっぱの子は泣きそうになる。姫様が駆け寄って、大丈夫と声をかける。
「だ、だって、姪御さんを連れていてもどうってことないじゃないですか」
半べそになって姫様に慰められながらそういった。
「そうだな、不思議なことじゃない。姪っ子を連れて出かけるのはよくあることだ・・・・・・」
少し考える。
「俺の兄は酒呑童子というんだ、知っているか」
かっぱの子は息を飲んだ。それは有名な名だった。
「酒呑童子・・・・・・鬼の王・・・・・・」
「その通り」
「じ、じゃあ、あ、あなたは茨木童子?」
「それもその通り」
驚いて息ができなかった。
「沙羅ちゃん」と姫様が背中をさすってくれて、何とか呼吸の続きができた。