2006-05-15から1日間の記事一覧
「すばしっこいねえ」 少女は、肩で息をしていた。 こきこきと、鬼姫が首を鳴らす。 溢れていた膨大な妖気は、全て自分の中に収めて。 鬼姫は、結局楽しんでいた。 「ほらあ!」 「にゃあ!!!」 「これは……一体?」 彩花と朱桜。砂埃舞い立つ大広間へ。 「…
「なんだこれは……」 転々と散らばり倒れ伏し、泡を吹いている鬼達。 大獄丸が、あぜんとしていた。 「ど、どうしたら……ムギュ!」 大獄丸をよびに来た鬼も気絶した。 鈴鹿御前の妖気にあてられたのだ。 大獄丸も、歯を食いしばり必死に耐えていた。 「鈴鹿………
「俊宗ー」 とんとんと鈴鹿御前が部屋の戸を叩く。 部屋の中には布団を頭までかぶり、うつぶせになって寝ている若い鬼。 鈴鹿御前の夫、藤原俊宗である。 もぞもぞと、鈴鹿御前の声に反応するかのように布団が動き出した。 うーん、鈴鹿がよんでる。 今、何…
「どう、彩花ちゃん。調子の方は?」 「う~ん、元気です。前と変わりないですよ」 「そう、なら良かった」 「あの……こんにちわ」 「や、朱桜ちゃん。どう、親父殿は?」 「父さまは……特に変わりないです」 「そう」 古寺の姫様彩花。西の鬼の王、酒呑童子の…