小説置き場2

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姉妹、喧嘩(6)

貂蝉「あら・・・」
 
 貂蝉、目を開ける
 城の医務室だ
 足が、重たい
 首を動かすと高順の姿が隣に
 二人とも、ベッドに寝かされていた

貂蝉「あの後・・・」
高順「丸一日眠っていましたよ」
貂蝉「高順さま・・・」
 
 こっちは既に起きていたらしい

高順「医者の話だと、目立った怪我はないようです。手心をくわえてくれたようで」
貂蝉「足が、重いのですが・・・」
 
 高順が苦笑いしながら、

高順「身体を起こしてください」
貂蝉「?」
 
 身体を起こすと、義妹にして主の姿が
 膝の上で呂布が眠っていた
 色鉛筆と、画用紙が一枚、シーツの上に散らばっている

貂蝉呂布・・・さま・・・」
 
 画用紙には、貂蝉の似顔絵らしきものと、大きく下手な字で、
 
 「ごめんなさい」
 
 と書かれていた

貂蝉「これ、呂布さまが?」
高順「貂蝉さまが起きるまで寝ないって言っていらしたのですけど・・・」
貂蝉「我慢できなかったのね」
高順「そうです」
貂蝉「高順さまはいつ起きられたのですか?」
高順「私はすぐに」
貂蝉「そう・・・呂布さま、起きてください」
呂布「うー・・・・・・貂蝉姉様!」
 
 呂布さんの瞳に涙がたまる
 貂蝉は、自分の指でそれをぬぐってやる

呂布「あの・・・・・・」
貂蝉「なあに?」
呂布「わ・・・・・・私・・・」
貂蝉呂布さま、いつもの呂布さまらしくないよ?」
呂布「だってだって・・・」
 
 ぱちんと指で呂布さんの額をはじく
 呂布、きょとんとした顔になる

呂布「?、?」
貂蝉「笑って、笑って・・・許してあげるから。呂布さまは笑っているのが一番」
 
 呂布のかいた似顔絵をもって優しく言う
 呂布、満面の泣き笑い

貂蝉「許してあげる・・・ケーキのことも・・・」
 
 呂布さんと高順、顔を見合わせる

赤兎「あのー・・・」
黒捷「あの・・・」
 
 馬が、二頭部屋に入ってきた

貂蝉「どうしたの、赤兎に黒捷?」
赤兎「食べたの俺と・・・」
黒捷「僕なんですけど・・・」
貂蝉「へ?」
赤兎「人参のいい匂いがしたんでつい・・・」
黒捷「つい・・・」
貂蝉「・・・・・・」
赤兎「人が来たんで急いで逃げたんですけど・・・」
貂蝉「・・・え、じゃあもしかして私の勘違い!?」
黒捷「はあ・・・」
貂蝉「そ、そんな・・・」
 
 貂蝉、顔をピンクに染めて
 ええ!っと頭をかかえている

貂蝉「えーっと・・・呂布さまごめんなさい!本当にごめんなさい!本当に本当にごめんなさい!」
呂布「あの・・・・・・貂蝉姉様を傷つけたこと、気にしてない?」
貂蝉「してないから!本当にごめんなさい!」
呂布「じゃあ、許す!これからも、姉妹でいてくれる?こんな私でも?」
貂蝉「うん」
 
 いつも仲のよい姉妹
 これで恨みっこなしということに

高順「よかったよかった・・・お前ら、あとで覚悟しとけよ・・・」
黒捷「・・・うん」
赤兎「・・・わかった」

 そんな珍しい出来事でした
 ちなみに、張遼はまだ寝てます
 寝る子は、育つ

 「「終」」