小説置き場2

山岳に寺社仏閣に両生類に爬虫類に妖怪に三国志にetcetc

2005-09-05から1日間の記事一覧

小説-あやかし姫-第十話~葉子と頭領~5

「葉子さん」 「木助、葉美」 出口で二人が待っていた。 「どうでしたかお姉様、久しぶりに玉藻様と会われて」 「お変わりない様子で安心したよ」 「世間話でもなさっていたのですか?ずいぶんと長かったような」 「ええ。木助が玉藻様の跡取りになるかもし…

小説-あやかし姫-第十話~葉子と頭領~4

「そなたが八霊殿かえ」 「はい」 葉子と頭領の前には、中央に見えた金色の尾の持ち主、妙齢の美女、玉藻の姿があった。なるほど九尾の一族を束ねていることはあり、その姿には威厳と高い妖気が見てとれる。金の幕で仕切られたそこには、三人しかいなかった…

小説-あやかし姫-第十話~葉子と頭領~3

「お前に妹がいたとはな」 「大分歳が離れていますし、腹違いですけどね」 なんとなく葉子の顔は沈んでいた。 「あの二人夫婦なんですよ」 「そうなのか」 「・・・・・・」 「頭領」 「今は八霊の方が良いじゃろ」 「そうですね、ここじゃあ頭領は玉藻様の…

小説-あやかし姫-第十話~葉子と頭領~2

「すいません、しゃべりすぎちゃって」 「いいよ」 途中から聞き流していたから、とは言わない。もう一度熱く語られそうだから。 「葉子さん!?」 若い男の声。 「また葉子の知り合いかい?」 しかし、葉子の反応は今までのものと違っていた。 「こ、木助?…

小説-あやかし姫-第十話~葉子と頭領~1

「ほれ、着いたぞ」 「つ、着きましたか」 怖々と葉子は目をあける。 今日は葉子の一族の長、玉藻の二千歳の誕生日。 一族の集まりに参加することにした葉子は頭領の鬼馬で行くことに。ただ、頭領の駆る鬼馬の速さは並大抵ではなかった。馬鹿みたいにとばす…